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ルー・フェイの伝説

マジック・ツリーハウス/著・メアリー=ポープ=オズボーン 訳・食野 雅子 イラスト・甘子 彩菜 (日本語版)

ジャックとアニーは、ペンシルベニア州フロッグクリークに住む、仲よし兄妹。
ふたりは、ある日、森のカシの木のてっぺんに、小さな木の小屋があるのを見つけた。中にあった恐竜の本を見ていると、とつぜん小屋がぐるぐるとまわりだし、本物の恐竜の時代へと、まよいこんでしまった。この小屋は、時空を超えて、知らない世界へ行くことができる、マジック・ツリーハウス(魔法の木の上の小屋)だったのだ。
ジャックたちは、ツリーハウスで、さまざまな時代のいろいろな場所へ、冒険に出かけた。やがてふたりは、魔法使いのモーガンや、モーガンの友人マーリンから、特別な任務をあたえられるようになった。そして、魔法と伝説の世界の友だち、テディとキャスリーンに助けられながら、自分たちで魔法を使うことも学んだのだった――。


(以上、31巻 【これまでのお話】より全文抜粋)


29巻 ふしぎの国の誘拐事件

ジャックとアニーは1862年のアイルランド、ゴールウェイ州に来ていた。二人が探しているのはオーガスタという想像力豊かな女の子。今度のジャックとアニーの役目は、彼女の素晴らしい才能を本人に気づかせて、世界中の人を感動させられるようにすることだ。
それに、今回もキャスリーンが魔法のアイテムを二人に渡してくれた。アイルランドに古くから伝わる縦笛の形をした、ふしぎな魔法の笛。吹けば自然にメロディーが流れ、それに合わせて歌えば歌詞の通りのことが起こる。ただし、使えるのは一度だけ。
ジャックはその笛を古ぼけたオーバーのポケットにしまい、オーガスタの住むお屋敷を目指して、雨の降る真冬のアイルランドを歩いていた。


ところが実際に会ってみると、オーガスタは空想を一切認めない女の子だった。みすぼらしい服を着た二人を助けてくれたまではよかったんだけど、その親切な行動とは裏腹に、貧しい者を見下しているような言動が目立つ。挙句の果てには、二人がシェークスピアの舞台に立ったことや、文字が書けることすら信じようとしない。
これにはさすがのジャックも腹を立てて、ついに口げんかになってしまった。オーガスタも、戸惑いつつも自分の考えを曲げようとしない。
怒ったオーガスタは自分がどんな人間か証明するために、二人をある老婆に引き合わせることにした。メアリー・シェリダン―オーガスタの乳母で、ちょっと頭がおかしいと思われているその人に。

メアリーとの話はとっても楽しかった。彼女はアイルランドの妖精も、古くからの伝承も、そしてジャックとアニーの語る話もすべて信じていた。彼女には妖精が見える。ほかのみんな―教育を受けた人たちが、作り話と言い切る存在が見えるのだ。
だけど、オーガスタには妖精が見えなかった。ほかの誰よりも、その存在を信じていたのに。
慣習に縛られ、森で遊ぶことも本を読むことも禁じられた少女は、いつしかその存在を否定するようになった。
せっかくオーガスタには素晴らしい才能が―人々におとぎ話を語り継ぐ才能があるのに!


だからジャックとアニーはひと芝居打つことにした。メアリーの語ってくれたお話をもとに脚本を作り、魔法の笛にあわせて歌うことでオーガスタの前に妖精を呼び出すんだ。
かつてウィルが―ウィリアム・シェークスピアが二人に教えてくれたように。
演題はもちろん、【真夏の夜の夢】…ではなく、【真冬の昼の夢】。森のそばの川べりで、アニーが笛を吹きジャックが自作の詩を朗々と歌う――

地ひびきとともに 妖精たち
橋をわたって やってきた
白馬に乗った一団に 羽の生えた花の精
王冠をかぶった 王さまと女王さま


強い風、あふれる光。列をなして現れた妖精たちに、オーガスタはすっかり夢中になっていた。
「妖精だわ!ほんものの妖精だわ!」
ジャックも胸を高鳴らせ、ついに最後の節を歌いあげた。

まわるまわる 妖精たち
秘密のすみかへ 引きあげる
ひとりぼっちの女の子
光のうずに巻きこんで


「お兄ちゃん、だめ!」
あわててアニーが叫ぶ。だけどもう、止めることはできなかった。
歌の通りに光の渦が巻き起こり、強い風が過ぎ去った後には妖精はすべていなくなっていた。
ひとりぼっちの女の子―オーガスタを連れて!


困り果てる二人。するとそこに、小さな妖精・レプラコーンのウィリーが現れた。二人はなんとか彼を説得し、妖精のすみかへの案内を頼む。古い森を進み、いばらの茂みを抜け、ついには地底にある妖精の宮殿にたどり着いた。
身をかがめてそっと宮殿の扉を開ける。楽隊に合わせてに踊る妖精たち。そのなかに、赤いマントを羽織った女の子がいた。

「ああ……、オーガスタが、あんなに小さくなっちゃってる!」
楽しそうにダンスを踊るオーガスタ。だけどその大きさは、20センチくらいしかなかった。

ジャックもアニーも、もう魔法の力は使えない。もし失礼な態度を取れば、こっちが妖精の魔法でブタに変えられてしまう。
それでも二人は、妖精の王さまを、そしてオーガスタ本人を説得して地上に連れ帰さなくちゃいけない。
もちろん、元の大きさで!




31巻 インド大帝国の冒険

ジャックは緊張した面持ちで、ディワーネ・ワームの玉座の前に立っていた。
緊張の原因はいくつもある。ひとつは男の子の格好をして隣に立っているアニー。いまはジャックの弟のふりをしているけど、女の子だってことがばれたらただではすまないだろう。
この時代―十七世紀のインド、ムガル帝国の女性は、人前で顔を見せることは固く禁じられているからだ。

それに、今回の冒険は絶対に失敗しちゃいけない。テディが魔法の失敗で石にしてしまったペンギンのペニーを自分たちの力でもとに戻すためには、皇帝の持つバラのエメラルドがどうしても必要なのだ。
モーガン先生やマーリン先生ならペニーをもとに戻せるんだろうけど、あいにく二人とも留守。それにマーリン先生が戻ってきたとしても、テディがお咎めなし、ってことにはならないだろう。最悪の場合、テディは王国を追放させられてしまうかもしれない。

そしてなにより、目の前の玉座に座っている冷たい雰囲気の人物が、ジャックを極限まで緊張させていた。
ムガル帝国第五代皇帝、シャー・ジャハーン。偉大な皇帝の前ではいかなる無礼も許されない。作法を間違えれば厳しく罰せられ、この場で処刑されてもおかしくないのだ。
無表情の大人たちに囲まれながら、ジャックはことが無事に過ぎ去るのをただひたすら待っていた。


意外なことに、それは上手くいった。皇帝はジャックの【贈り物】を受け取り、二人はご褒美にバラのエメラルドを貰うことができた。なにもかもが順調で、後はフロッグクリークに帰るだけ!
……とはならなかった。皇帝陛下のお招きで、使節団はゾウのパレードを見学しなくてはいけないのだ。もちろん、断ることなど許されない。
ジャックがため息をついていると、アニーが言った。
「ゾウのパレードなんて、めったに見られないのよ。お兄ちゃん、見てみたくないの?」
はしゃぐアニーとは対照的に、ジャックはもう気が気でなかった。
「フロッグクリークでなら見てみたいよ。だけどここは、ちょっと礼儀に反しただけで処罰されるような国だぞ。パレードなんか見たって、楽しめるわけないじゃないか」
「だいじょうぶよ。わたしたちはただ見るだけだもの。何もおこらないわよ。それに何かあったら、魔法の秘薬を飲んで逃げればいいんだから。」
あっけらかんと笑うアニー。アニーが言っているのは、冒険の前にテディに貰った、からだが小さくなる水のことだ。魔法は時間が経てば自然に解ける。ひと口で十分、ふた口なら二十分、三口なら三十分。
…でも小さくなっている間なにも起こらないなんて、どうして言い切れるだろう?かつて妖精の魔法で小人にされてしまったオーガスタのことを思い出すと身震いがする。
「アニーは、よっぽど小さくなりたいんだな!」
ジャックはやけくそになって叫んだ。


そこから先の出来事は目が回るようだった。パレードの最中に突然暴れまわる一頭のゾウ、取り押さえて処刑しようとする衛兵たち。それを見過ごすことができず、あろうことかシャー・ジャハーン皇帝の前に進み出て直談判を始めるアニー。
なによりも驚いたのはその結末。お咎めなしどころか、そのゾウを二人にくれるというのだ!
「今日のことは、皇帝陛下の特別のはからいです。陛下のお気が変わらないうちに、早く立ち去ってください。」
【春風】と名付けられたメスのゾウは二人を乗せると、勢いよく外に走り出していった。

春風はその名前に反して、まるで暴風のように突っ走っていた。自分のふるさとを目指し、足下の人々など気にしないかのように、すべてをなぎ倒しながら。市場の屋台を、村の家壁をその太い足で踏みつけ、壊しながら突き進んでいく。怒り狂う商人たちも、荒れ狂う春風を止めることはできなかった。
村を抜けて草原を突っ切り、ジャングルの入り口まで来たところで春風はようやく止まった。大きく嘶いて、二人を振り落とすと―そのままジャングルの奥へと消えていった。


ジャックは腰をさすりながら吹っ飛ばされたバッグを回収した。バッグの口は空いていて、中のものが周りに散乱している。魔法の秘薬とか、大切なものは一通りあったけど…肝心のエメラルドがない!
必死になって草原を探し回ると、アニーが日の光を反射して光るエメラルドを見つけた。ほっとして取りに行こうとするけど……なにかがおかしい。茶色い地面がかすかに上下している。それはとぐろを巻いていて、黄色い縞模様が―
「黄色いしまもようの大蛇といえば……キ、キ、キングコブラだ!!」
そう、エメラルドがあったのは体長3~4メートルのキングコブラの巣。その宝石のそばで、猛毒を持つキングコブラのメスが、卵を守って眠っているのだ!!

「キングコブラに、魔法の秘薬を飲ませられたらいいのに。ミミズくらい小さくなってくれれば、そのあいだに、エメラルドをひろえるのに…」
アニーがつぶやく。それを聞いたジャックははっとした。
「アニー、その手があるじゃないか!」
「え?キングコブラに魔法の秘薬を飲ませるの?」
「ちがうよ。ぼくたちが小さくなるんだよ」
「わたしたちが?」
「キングコブラは、音が聞こえないから、ぼくたちが小さくなれば、たぶん気づかれない」
「ふんふん」
「視力はいいけど、それは、姿が見えればっていうことだ。だから、見つからないようにかくれていけばいい」
「なるほど」
「できるだけそうっと近づけば、空気の振動だって少なくできるし……」
「そうね!」
そうと決まればやることは一つだ。小さくなってエメラルドを回収するまで、ざっと二十分。ジャックは小瓶のふたを開け、思い切ってふた口飲むと、それをアニーに手渡した。
そのとたん、頭がクラクラして、深い穴に落ちていくような感覚があって――


「お兄ちゃん、目を開けて。まわりを見て!」
「うわっ!」
目を開けたジャックは、驚いてひっくり返った。さっきまで足もとにあった草が、木のように大きい。
「こ、こんなに小さくなるとは思わなかったよ!」
立ち上がって見ると、着ている服もバックも、みんな小さくなっている。身長およそ10センチってとこかな。
小さくなって見るジャングルは、様々な音にあふれていた。地面が近くなったぶん、これまで気づかなかった自然の営みが、ダイナミックに迫ってくる。野草の花が、美しい大輪の花に見える。木の実が巨大なスイカのようだ。
虫が苦手なアニーが巨大なコオロギに驚いたり、チョウやハチと少しの間戯れたりしていたけど…こんなことをしている場合じゃない。もとの大きさに戻らないうちに、エメラルドを取り戻さなくちゃ。

ジャックとアニーは、林のような草を分け、じゅうたんのように大きな枯れ葉をふみ、大木の幹のようなキノコをよけながら、進んでいった。石や木の根は小山をよじ登るようにして乗りこえた。大きな石や水たまりは、ぐるりとまわっていかなければならなかった。
二人はようやく日の当たる場所の近くまでやってきて、枯れ葉の間に光るエメラルドを見つけた。…のだけれど、ジャックはここで誤算に気づいた。さっきまで"小さな宝石"だったエメラルドが、いまは、バスケットボールほどの大きさに見える。
そればかりか、とぐろを巻くキングコブラは、まるで、ファンタジー映画に出てくる巨大なドラゴンのようだ!
二人は自分たちの身体をツタの葉っぱでカモフラージュして、すこしずつコブラに近づいていく。コブラは動くものに敏感だ。葉っぱのふりをして、ゆっくり、ゆっくり…
二人は緊張しながらもどうにかエメラルドを回収し、再びその場から離れようとする。なんとか無事に逃げられそうだ、と思ったそのときだった。
―ふたりの背後で、シシシューーーッ!と気味の悪い音が聞こえた。

ふり返ると、目の前に、うす黄色の壁のようなものが立ちあがっていた。それは、かま首をもたげた、巨大なキングコブラの胸だった。
目をあげると、ぱっくりと開いたコブラの口から、するどい剣のような牙がのぞいている。
「パ、パ、パ、パパコブラ……」
と、そのとき、前からも別の声がした。
シシシューーーッ!
向きなおると、眠っていたはずのママコブラも、かま首を持ち上げている。
ふたりは、二匹のキングコブラに、はさみうちにされてしまった。
二匹のキングコブラが、声を上げる。
シャアァァーーーッ!
「逃げろおっ!!」
一目散に逃げる二人。背丈よりも高い草をかき分け、丸太のような枝を飛び越えて。
ジャックも夢中で走る。だが、小さなからだでは、アリが逃げまどうようなものだ。それに、バッグに入れたエメラルドが重い!
コオロギやカブトムシが、あわてて草むらに逃げこんでいった。
キリキリ……、カッカッ……、シャカシャカ……、ズルズル……
ジャングルじゅうの音が、『コブラがすぐうしろに迫っているぞ!』と、ジャックに警告していた。

そのうち、足がもつれて、草の上に倒れこんでしまった。あわててふり返る。あたりを見回してもコブラはいない。
…それどころか、いっしょに逃げていたはずのアニーもいない!
(まさか、コブラは、アニーを追っていったんじゃ……)

アニー!どこだ、アニー!!

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2016年下半期まとめ

2016年下半期のsw情報まとめ。
#sw情報タグを使ってツイッターで発信したりしなかったりしたものに加筆。詳細について知りたいものは、質問いただければお答えします。

個人的な事情(回線とか)でネット上の情報を追い切れていない面があります。…ありますが、あんまり情報が無かったような気もします。
私個人でも古本屋を回っていろいろ探していたけどなかなか記事が書きにくいものばかりで、このブログ自体の更新頻度も低下するという悪循環に。来年はなんとかします。ええ。

情報を提供してくださった方々に感謝いたします。

(以下、折りたたみ)

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リトル・リトル・ファンタジー

りとる2☆ミラクル/にしむらともこ

「おとぎ話」って知ってる?

お姫様に、魔法使いに、ドラゴン。
そんなドキドキハラハラの、夢物語――

そう 「夢物語」だと思ってた―

あの日までは――



今日こそ…今日こそ春日君に話しかけるんだっ!
放課後の図書室、窓辺にたたずむ美少年を見つめて、新菜は静かな決意をたぎらせていた。
憧れの春日君、なんとか彼と話す機会を作ろうと…したけど、大勢の春日君のファンクラブの子たちに突き飛ばされて本棚にぶつかって―あっ!うっかり高そうな本やぶっちゃった!どっ、ど~しよ~~…
「あの…だいじょうぶ?」
背後から急に話しかけられて、新菜はおもわずその本を懐に隠してしまう。
「う…うん。だいじょう…ぶ…」
「ホントに?ケガはない?清水さん」
春日君…
「う…ん」
「そう?よかった」
そう言って笑う春日君。
う…わーーーい♡

家に帰ってからも新菜は浮かれっぱなし。春日君に、名前よばれちゃった~~♡
新菜は仲を取り持ってくれた本に感謝しつつ、セロハンテープで破れたところをぺたぺたと貼りなおしていた。
―でも…思わずだまって持ってきちゃったけど、この本なんなんだろう。
タイトルもないし、貸し出しカードも入ってない…なんか、外国の絵本っぽいけど…字、読めないし。
不思議に思いながらも本を見つめる新菜。背後の窓から満月の光が本を照らして―光った。
「え?」
驚く間もなく、本から光が溢れてくる―!!

―気が付くと、新菜は別の世界にいた。木々を揺らして吹き抜ける風。遠くに見える西洋のお城。
足下にはさっきの本があるけど、開かれたページに写っているのは…あたしの部屋!!
「どーしてっ!?なんで絵本の中に~~?」
どうやって帰るのかも分からずにいると、コン、と足になにかが転がってきた。
円い腕輪。顔を上げると長い髪のきれいな女の子と目が合う。
「きゅうう~」
変な声が聞こえたほうを向くと、そこにいたのはぬいぐるみみたいな、空を飛んで火を吐く…生きもの!?
思わず後ずさる新菜。手が本に触れた途端にまた景色が歪んでいって―

―また自分の部屋。なに、いまの?夢?
そうよねっ、あんなヘンなこと夢に決まって――
そう信じようとした刹那、ポゥ、と、またあの本が光る。
途端に新菜は怖くなって、叫びながら部屋を飛び出した。
「おかーさ~ん!」
…誰もいなくなった部屋で、背後の本から光が立ち上り青年の姿を形作った。それと、小さなドラゴンも。
「なんだ、ドゥン、おまえもついてきたのか?」「きゅ♡」
「とにかく、早くあの娘を探し出して、『あかしの腕輪』を取り返さなくては!」


思わずリビングに駆け込んだのはいいものの、あいにく両親は結婚記念日で家を留守にしていた。でも一人であの部屋に戻るのも怖いし……
そのときになって、新菜は絵本の世界から持ち出したブレスレットに気づく。おそらくはあのお姫様の持ち物だけど…
「…ちょっとくらいつけてみてもいいよね」
腕輪をそっと右手にはめる。すると今度はブレスレットから光が溢れ、新菜のまわりに広がっていく!
「しまったーっ!『あかしの腕輪』を―――」
一瞬遅れて部屋に入ってくる青年。みるみるうちに新菜の身体は縮んでいって―あるサイズで止まった。
「な…に?なにがおこったの?」
思わず自分の手足を見つめる新菜。途端、立っていた椅子から足を踏み外して真っ逆さまに―落ちるっ!!
…って思ったけど、なんか柔らかいところに落ちて助かったみた…い!?
「だいじょうぶか?」
って、なに!?きょ、巨人!!それに、なんかへんな生き物もいる!!
「きゃー!きゃー!巨人さん、食べないで~~!」
「誰が巨人だこら。オレがデカいんじゃなくて、あんたが小さくなってんだよ!」
え、うそっ!でも周りを見てみると…ここテーブルの上だ!
「――とにかく!『あかしの腕輪』は返してもらうぞ、このどろぼうネコ!」

…人の家に勝手に入ってきた挙句、人をどろぼう呼ばわりしたコイツ、どうもあの世界―リューリアの人間みたい。
「オレはリューリア王国王室魔術士の弟子、シィン=ルーディン。そして、その『あかしの腕輪』は、国王に代々受けつがれてきたきた『王のあかし』の魔法の腕輪というわけだ。そして今は、もうすぐ女王になられる、リーナ姫のものでもある!」
「もしかして、あたしが小さくなったのって腕輪のせい!?」
じゃあ、この腕輪をはずせば元の大きさに戻れ…あれ?
「無駄だ」「え…?」
「『あかしの腕輪』は、一度つけると自分でははずせないんだ」
…じゃあ、あたし………ずっとこのまま―――!?
「そんな――なんとかもとに戻れないの?」
「――その腕輪をはずせるのはただ一人、リューリア王国王室魔術士…オレの師匠だけだ」
…シィンはまだ修行中だから、腕輪をはずすだけの能力はないらしい。役立たず…
「だからっ、オレとリューリアに来い!そうすれば腕輪もはずしてもらえて、おまえももとに戻れる」
「――わかった、行こう!」
降り出した雨に急かされるように、あたしとシィン(と、ドラゴン?)は部屋に戻った。


…決心して、シィンの肩に乗って部屋に戻ったのはいいんだけど。
「あれ?絵本が光ってない!」
さっきまで月の光を受けて光っていた絵本は輝きを失い、シィンが触ってもなにも起きない。
「じゃ…じゃあ、あたしがさわってみる!」
新菜は肩から飛び降りて、腕輪をはめた右手を本に近づける。
「え―――!?」
するとまた光が溢れていって―もとの大きさに戻った!
不思議に思ったシィンは絵本を調べていたけど…やがてあることに気が付いたみたい。
「どうやらこの絵本は、リューリアの王家の人間が作ったものらしいな」
「…は?」
「言ったろ?王家の人間は腕輪の力をコントロールできるって。この絵本にはその王家の魔力がかけられてるんだ」
えーと…?よく理解できないんだけど。
「つまり、こーゆーことさ」
シィンがおもむろに本を持ち上げる。するとまた腕輪が光って…うそ!また小さくなった!?
「あんたがもとの姿にもどれたのは、この本の魔力のおかげだったんだ。だから、本から離れるとまた小さくなるってわけだ」
じゃあ…いつも本のそばにいなくちゃいけないってこと!?

「ところで、あんたんち空いてる部屋は?」
「え…高校の寮に入ってるお兄ちゃんの部屋があるけど…」
「じゃ、そこでいーか」
「ちょっとちょっとぉ、リューリアに帰るんでしょっ」
「帰れないんだよ。この本によるとリューリアと行き来できるのは満月の夜だけらしい。だから、この天気じゃもう今日はムリなんだ」
…えっ!?

「そんなわけだから次の満月の日まで世話になるぜ。ドロボーさん♡」
う…うそでしょ~~~っ!!

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2016年上半期まと…め…?

2016年上半期のsw情報まとめ。
#sw情報タグを使ってツイッターで発信していたものに、ちょこっと加筆。私が呟くのを忘れていた情報もわりとありました。
詳細について知りたいものは、質問いただければお答えします。

今期は不作だったかな…新しいアニメとか漫画とかは最初の頃に縮小回があるケースが割と多いんだけど、今年の春はこれといって情報が見つかりませんでした。
一方でメロンブックスやDLsiteなど、サイズ系の同人制作は活発になってきているみたいで嬉しい限り。購入して応援しよう。
あと、学習漫画の系列も続々出版されているみたいだけど、こちらは追いきれず。機会を見つけてまとめます。

情報を提供してくださった方々に感謝いたします。

(以下、折りたたみ)

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ふしぎなおやど

このはな綺譚 2/天乃咲哉
一寸さつき

あの世とこの世の間にある、様々なひとが行き交う宿場町。「此花亭」は、その町の高台に建つ温泉宿です。
仲居はみな、10~17歳ぐらいの少女の姿をした狐ばかり。「狐は神の遣い」ともいうため、此花亭には神さまもお泊りになります。
お客は神さまだけではなく、迷い込んでしまった人間や、人ならざる物も…

それでも仲居たちの想いはひとつ。
「正体が何でも、どなたさまでも、お客さまは神さまです。」
もちろん、いま目の前におられる、あなたも…。

(以上、公式サイトより全文抜粋)


此花亭。この格式高いお宿には、いろんな方がお泊りになられます。
宿場町に住んでいる方、はるばる遠くからいらした方、長期間逗留していらっしゃる方―人間に動物、神様、なんと呼んでいいのか分からない方まで、実に様々な方がこの温泉宿を訪れます。
柚はこのお宿で働く新人中居の子狐です。もともとは人間の尼さんに拾われて育ったため、狐同士の勝手は少し疎いところがあります。ましてやったこともない中居の経験なんて!

それでも柚は、暖かい屋敷の皆さんや、先輩中居の皐ちゃんに助けられて一生懸命にお仕事を頑張っています。
―ですがある日、その皐ちゃんが働けなくなる出来事があったのです。


秋を少し過ぎた頃のことでした。祝言が続いていた時期で、皐ちゃんも夜通し宴会の担当をなさっておいででした。
柚もねずみの親方の付き人をしていました。といっても親方はねずみの大きさではなく、柚と変わらない背丈まで大きくなっていました。身体を大きくする薬を飲んだのです。…さすがにそのままの大きさでは猫の祝言には出られませんからね。

「あとァこれで小さくなる薬を飲めば元通りって寸法ヨ」
そう言う親方と柚は、薬が置いてある待合い室に入ります。
ですが、そこにはなぜか皐ちゃんの着物が畳に広がっていて…
―いえ、着物の中になにか小さな…?

「茶菓子と間違えて小さくなる薬食べちゃったって!?ばっかだな~!!」
先輩中居の棗ちゃんが笑います。皐ちゃんはお人形さんくらいに小さくなって、私たちの前に座っています。
…本当は柚が十分に説明をしなかったのがいけなかったのです。
おまけに薬の余分がないので、しばらくはこのままだそうで…
小さくなった皐ちゃんは、蓮ちゃんに縫ってもらった洋服を着て(本当にお人形さんみたいです)なんとか体裁は整いましたが…ひとつ重大な問題が。
「でも参ったな~皐に休まれると仕事にならないのよね~」
そうなのです。中居頭の桐ちゃんがおっしゃる通り、経験豊富な皐ちゃんがいないとお宿のお仕事が回らないのです。
ですが、真面目な皐ちゃんは別の中居と組んで指示を出すと言いだしました。…確かにこの大きさなら頭や肩に乗って指示を出すことはできます。
ためしに棗ちゃんと皐ちゃんが組んでお仕事をしてみたのですが、その…堅物で細かいところのある皐ちゃんと、明るく無神経な棗ちゃんでは相性が悪かったようです。

そんなわけで、皐ちゃんは柚の肩に乗ってお仕事の指示をすることになりました。
身体の大きさは違うものの、皐ちゃんはいつも通りテキパキと指示を出しています。
「柚!ご予約のお客様だ。出迎えるぞ」
「あ…はい!」
さっそくお客様です。皐ちゃんも柚の肩の上からご挨拶をします。
…ですが柚はその方の格好を見るなり、皐ちゃんの指示を待たずにお客様に声をかけたのです。

「あの…お客様!お疲れのようですし、良ければ足湯をご用意致します!」
そう言うなり、柚はお客様を綺麗な景色が見える庭へとお連れして、手際よくおもてなしの準備を整えました。
皐ちゃんが気づかないようなことも丁寧に対応する柚。お客様もとても満足そう。
―皐ちゃんが肩の上から見たそんな柚の姿は、昔のドジで未熟な柚ではなくて―


「皐ちゃん、次のご指示は?」
「……いや。もう…指示することはないよ」

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