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リトル・リトル・ファンタジー

りとる2☆ミラクル/にしむらともこ

「おとぎ話」って知ってる?

お姫様に、魔法使いに、ドラゴン。
そんなドキドキハラハラの、夢物語――

そう 「夢物語」だと思ってた―

あの日までは――



今日こそ…今日こそ春日君に話しかけるんだっ!
放課後の図書室、窓辺にたたずむ美少年を見つめて、新菜は静かな決意をたぎらせていた。
憧れの春日君、なんとか彼と話す機会を作ろうと…したけど、大勢の春日君のファンクラブの子たちに突き飛ばされて本棚にぶつかって―あっ!うっかり高そうな本やぶっちゃった!どっ、ど~しよ~~…
「あの…だいじょうぶ?」
背後から急に話しかけられて、新菜はおもわずその本を懐に隠してしまう。
「う…うん。だいじょう…ぶ…」
「ホントに?ケガはない?清水さん」
春日君…
「う…ん」
「そう?よかった」
そう言って笑う春日君。
う…わーーーい♡

家に帰ってからも新菜は浮かれっぱなし。春日君に、名前よばれちゃった~~♡
新菜は仲を取り持ってくれた本に感謝しつつ、セロハンテープで破れたところをぺたぺたと貼りなおしていた。
―でも…思わずだまって持ってきちゃったけど、この本なんなんだろう。
タイトルもないし、貸し出しカードも入ってない…なんか、外国の絵本っぽいけど…字、読めないし。
不思議に思いながらも本を見つめる新菜。背後の窓から満月の光が本を照らして―光った。
「え?」
驚く間もなく、本から光が溢れてくる―!!

―気が付くと、新菜は別の世界にいた。木々を揺らして吹き抜ける風。遠くに見える西洋のお城。
足下にはさっきの本があるけど、開かれたページに写っているのは…あたしの部屋!!
「どーしてっ!?なんで絵本の中に~~?」
どうやって帰るのかも分からずにいると、コン、と足になにかが転がってきた。
円い腕輪。顔を上げると長い髪のきれいな女の子と目が合う。
「きゅうう~」
変な声が聞こえたほうを向くと、そこにいたのはぬいぐるみみたいな、空を飛んで火を吐く…生きもの!?
思わず後ずさる新菜。手が本に触れた途端にまた景色が歪んでいって―

―また自分の部屋。なに、いまの?夢?
そうよねっ、あんなヘンなこと夢に決まって――
そう信じようとした刹那、ポゥ、と、またあの本が光る。
途端に新菜は怖くなって、叫びながら部屋を飛び出した。
「おかーさ~ん!」
…誰もいなくなった部屋で、背後の本から光が立ち上り青年の姿を形作った。それと、小さなドラゴンも。
「なんだ、ドゥン、おまえもついてきたのか?」「きゅ♡」
「とにかく、早くあの娘を探し出して、『あかしの腕輪』を取り返さなくては!」


思わずリビングに駆け込んだのはいいものの、あいにく両親は結婚記念日で家を留守にしていた。でも一人であの部屋に戻るのも怖いし……
そのときになって、新菜は絵本の世界から持ち出したブレスレットに気づく。おそらくはあのお姫様の持ち物だけど…
「…ちょっとくらいつけてみてもいいよね」
腕輪をそっと右手にはめる。すると今度はブレスレットから光が溢れ、新菜のまわりに広がっていく!
「しまったーっ!『あかしの腕輪』を―――」
一瞬遅れて部屋に入ってくる青年。みるみるうちに新菜の身体は縮んでいって―あるサイズで止まった。
「な…に?なにがおこったの?」
思わず自分の手足を見つめる新菜。途端、立っていた椅子から足を踏み外して真っ逆さまに―落ちるっ!!
…って思ったけど、なんか柔らかいところに落ちて助かったみた…い!?
「だいじょうぶか?」
って、なに!?きょ、巨人!!それに、なんかへんな生き物もいる!!
「きゃー!きゃー!巨人さん、食べないで~~!」
「誰が巨人だこら。オレがデカいんじゃなくて、あんたが小さくなってんだよ!」
え、うそっ!でも周りを見てみると…ここテーブルの上だ!
「――とにかく!『あかしの腕輪』は返してもらうぞ、このどろぼうネコ!」

…人の家に勝手に入ってきた挙句、人をどろぼう呼ばわりしたコイツ、どうもあの世界―リューリアの人間みたい。
「オレはリューリア王国王室魔術士の弟子、シィン=ルーディン。そして、その『あかしの腕輪』は、国王に代々受けつがれてきたきた『王のあかし』の魔法の腕輪というわけだ。そして今は、もうすぐ女王になられる、リーナ姫のものでもある!」
「もしかして、あたしが小さくなったのって腕輪のせい!?」
じゃあ、この腕輪をはずせば元の大きさに戻れ…あれ?
「無駄だ」「え…?」
「『あかしの腕輪』は、一度つけると自分でははずせないんだ」
…じゃあ、あたし………ずっとこのまま―――!?
「そんな――なんとかもとに戻れないの?」
「――その腕輪をはずせるのはただ一人、リューリア王国王室魔術士…オレの師匠だけだ」
…シィンはまだ修行中だから、腕輪をはずすだけの能力はないらしい。役立たず…
「だからっ、オレとリューリアに来い!そうすれば腕輪もはずしてもらえて、おまえももとに戻れる」
「――わかった、行こう!」
降り出した雨に急かされるように、あたしとシィン(と、ドラゴン?)は部屋に戻った。


…決心して、シィンの肩に乗って部屋に戻ったのはいいんだけど。
「あれ?絵本が光ってない!」
さっきまで月の光を受けて光っていた絵本は輝きを失い、シィンが触ってもなにも起きない。
「じゃ…じゃあ、あたしがさわってみる!」
新菜は肩から飛び降りて、腕輪をはめた右手を本に近づける。
「え―――!?」
するとまた光が溢れていって―もとの大きさに戻った!
不思議に思ったシィンは絵本を調べていたけど…やがてあることに気が付いたみたい。
「どうやらこの絵本は、リューリアの王家の人間が作ったものらしいな」
「…は?」
「言ったろ?王家の人間は腕輪の力をコントロールできるって。この絵本にはその王家の魔力がかけられてるんだ」
えーと…?よく理解できないんだけど。
「つまり、こーゆーことさ」
シィンがおもむろに本を持ち上げる。するとまた腕輪が光って…うそ!また小さくなった!?
「あんたがもとの姿にもどれたのは、この本の魔力のおかげだったんだ。だから、本から離れるとまた小さくなるってわけだ」
じゃあ…いつも本のそばにいなくちゃいけないってこと!?

「ところで、あんたんち空いてる部屋は?」
「え…高校の寮に入ってるお兄ちゃんの部屋があるけど…」
「じゃ、そこでいーか」
「ちょっとちょっとぉ、リューリアに帰るんでしょっ」
「帰れないんだよ。この本によるとリューリアと行き来できるのは満月の夜だけらしい。だから、この天気じゃもう今日はムリなんだ」
…えっ!?

「そんなわけだから次の満月の日まで世話になるぜ。ドロボーさん♡」
う…うそでしょ~~~っ!!

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ふしぎなおやど

このはな綺譚 2/天乃咲哉
一寸さつき

あの世とこの世の間にある、様々なひとが行き交う宿場町。「此花亭」は、その町の高台に建つ温泉宿です。
仲居はみな、10~17歳ぐらいの少女の姿をした狐ばかり。「狐は神の遣い」ともいうため、此花亭には神さまもお泊りになります。
お客は神さまだけではなく、迷い込んでしまった人間や、人ならざる物も…

それでも仲居たちの想いはひとつ。
「正体が何でも、どなたさまでも、お客さまは神さまです。」
もちろん、いま目の前におられる、あなたも…。

(以上、公式サイトより全文抜粋)


此花亭。この格式高いお宿には、いろんな方がお泊りになられます。
宿場町に住んでいる方、はるばる遠くからいらした方、長期間逗留していらっしゃる方―人間に動物、神様、なんと呼んでいいのか分からない方まで、実に様々な方がこの温泉宿を訪れます。
柚はこのお宿で働く新人中居の子狐です。もともとは人間の尼さんに拾われて育ったため、狐同士の勝手は少し疎いところがあります。ましてやったこともない中居の経験なんて!

それでも柚は、暖かい屋敷の皆さんや、先輩中居の皐ちゃんに助けられて一生懸命にお仕事を頑張っています。
―ですがある日、その皐ちゃんが働けなくなる出来事があったのです。


秋を少し過ぎた頃のことでした。祝言が続いていた時期で、皐ちゃんも夜通し宴会の担当をなさっておいででした。
柚もねずみの親方の付き人をしていました。といっても親方はねずみの大きさではなく、柚と変わらない背丈まで大きくなっていました。身体を大きくする薬を飲んだのです。…さすがにそのままの大きさでは猫の祝言には出られませんからね。

「あとァこれで小さくなる薬を飲めば元通りって寸法ヨ」
そう言う親方と柚は、薬が置いてある待合い室に入ります。
ですが、そこにはなぜか皐ちゃんの着物が畳に広がっていて…
―いえ、着物の中になにか小さな…?

「茶菓子と間違えて小さくなる薬食べちゃったって!?ばっかだな~!!」
先輩中居の棗ちゃんが笑います。皐ちゃんはお人形さんくらいに小さくなって、私たちの前に座っています。
…本当は柚が十分に説明をしなかったのがいけなかったのです。
おまけに薬の余分がないので、しばらくはこのままだそうで…
小さくなった皐ちゃんは、蓮ちゃんに縫ってもらった洋服を着て(本当にお人形さんみたいです)なんとか体裁は整いましたが…ひとつ重大な問題が。
「でも参ったな~皐に休まれると仕事にならないのよね~」
そうなのです。中居頭の桐ちゃんがおっしゃる通り、経験豊富な皐ちゃんがいないとお宿のお仕事が回らないのです。
ですが、真面目な皐ちゃんは別の中居と組んで指示を出すと言いだしました。…確かにこの大きさなら頭や肩に乗って指示を出すことはできます。
ためしに棗ちゃんと皐ちゃんが組んでお仕事をしてみたのですが、その…堅物で細かいところのある皐ちゃんと、明るく無神経な棗ちゃんでは相性が悪かったようです。

そんなわけで、皐ちゃんは柚の肩に乗ってお仕事の指示をすることになりました。
身体の大きさは違うものの、皐ちゃんはいつも通りテキパキと指示を出しています。
「柚!ご予約のお客様だ。出迎えるぞ」
「あ…はい!」
さっそくお客様です。皐ちゃんも柚の肩の上からご挨拶をします。
…ですが柚はその方の格好を見るなり、皐ちゃんの指示を待たずにお客様に声をかけたのです。

「あの…お客様!お疲れのようですし、良ければ足湯をご用意致します!」
そう言うなり、柚はお客様を綺麗な景色が見える庭へとお連れして、手際よくおもてなしの準備を整えました。
皐ちゃんが気づかないようなことも丁寧に対応する柚。お客様もとても満足そう。
―皐ちゃんが肩の上から見たそんな柚の姿は、昔のドジで未熟な柚ではなくて―


「皐ちゃん、次のご指示は?」
「……いや。もう…指示することはないよ」

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メタモルフォーゼ

昆虫のふしぎ (講談社の動く学習漫画 MOVE COMICS)/漫画 安斉俊 監修 伊藤弥寿彦


ある日のことです。昆虫が大好きなセセリくんと、チョウの仲間が大好きなタテハちゃんは、昆虫博士のハンシ博士の研究所「MOVE 昆虫館」に呼ばれました。でも建物に入ってみていきなりびっくり!二人を出迎えたのは巨大なハチ…の模型。
なんとここは、巨大模型で昆虫たちの世界を体感できる場所だったのです。
ハンシ博士が二人を呼んだのは、ある発明品を披露するためでした。その名も、昆虫探索用トレッキングシューズ『アンツ』。二人の足にぴったりはまるその靴は、どう見ても子供用です。靴を履いた二人は、そのまま外に連れ出されました。

「横のスイッチをおしてごらん」
二人がハンシ博士の言う通り、靴の横にある逆三角形のスイッチを押すと―突然あたりがまぶしく光りました!
「びっくりしたぁ」「すげぇまぶしかった」
あまりのまぶしさに目をこする二人の周りに、ぞろぞろとなにかが集まってきました。そのうちの一匹が、セセリくんの肩をとんとん、と叩きました。振り返ると…巨大なアリがいっぱいいます。
「博士のつくった模型?」
でもその造形といい、動きといい、とても模型とは思えません。これは―
「セセリくん、これ模型じゃないわ!本物のアリよ!」
そうです。いつの間にか二人はアリの大群に囲まれていたのです!いったいどうなってるの?


「いた、いた!小さくて見つけられなかったよ」
上のほうから声がしました。近づいてきた巨大な手のひらに、アリたちは慌てて逃げ出します。
「どうだい、ほんものの昆虫世界は?」
大きな手で二人をすくいあげたのは、とても大きなハンシ博士でした。
「くつの力でクロオオアリとおなじサイズまでちぢんだんだよ」
クロオオアリ―さっき二人を取り囲んでいたアリです。その大きさは7~12 mm…つまり、二人は靴の力で1 cm程度まで小さくなってしまったようです。

「これからさきは、きみたち自身の足で本物の昆虫世界を冒険するんだ!」
そうです。この靴は、二人が自然の中で本物の昆虫を観察するために作られたものだったのです!
二人はゲンゴロウ型ロボット・キビスケに乗り込んで、昆虫の世界へと旅立ちます!!

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探してたあの人

おひるね ちゅっ!/YUG

Twin Walk

「はい、柏木です。―あ、はるかちゃん。…今日これから?…ごめんわたし、今日もちょっとやる事があって……うん。」

私は柏木ことの。ある賞へ投稿するための少女まんがを描いてます。
〆切はもうすぐ。今度こそ入賞できるような作品を描かないと。

…でも、今ちょっとスランプ中なのです。
ラストの主人公の表情が、全然うまく描けなくって――

はるかちゃんのお誘いも断って、また原稿に向かいます。いざ描こうとしたときに、窓からなにかが入ってきました。桜の花びらです。
机に手をついて窓を閉めようとしたのですが―ついうっかり、原稿にインクをこぼしてしまいました。
「大変…!」
もう…!何やってんだろ、わたし。


「ったくホントになーにやってんだか」
「う~ごめんごめん…」
うう。怒られてしまいました。ごめ…あれ?

「…まったくも~~あなたって前からかなりドジだって思ってたけどぉ、今回はもうアキれちゃったわっ」
机の上に立つその女の子は腰に手をあてて、ため息をつきました。制服の上着と髪の毛に、私がこぼしたインクがついています。
「…聞いてる?」
その怒った口調に、わたしはあわてて首を縦に振ります。
こ…こんなことって――
急いで完成させなきゃならない原稿から、よりによって主役が出てきちゃうなんて…!
…しかも出てきた反動からか――性格がまるで正反対になっちゃってるみたい。

「どう?おちた~~?」
わたしは汚してしまったちっちゃな制服を洗っています。彼女はその間、絵の具バケツのお風呂に入っています。
「そうそうこの前私の上でさぁ、いねむりされた時もまいったのよね~~」
おぼれるかと思ったし、という彼女の言葉に私は顔を赤くしました。
…とにかく早く戻ってもらわないと。

「あの…元に戻るのって…」
お風呂からあがった彼女に問いかけます。
彼女は、ふ~、と深く息をはいた後で、微笑みながらこう答えました。
「………それは、出したあなたが考えてよね」
……どうしよう。

「ま、それよりさ!せっかくこっちに来れたことだし―――」

「へえーーーっ、こっちの世界ってステキじゃな~い!」
私は彼女を肩に乗せ、散歩に出かけることになりました。―私以外には見えないんだ…
もう…こんなことしてる暇無いのに―――
それでも、白黒の世界に生きている彼女からすればこの世界はとても新鮮なようで、いろいろなものに興味を示します。
私たちは彼女の好奇心のままに、いろんなところを歩き回りました。
…そういえば、こんなふうにのんびり外を歩き回るのって、けっこう久しぶりかもしれないなあ。
――でもこれって今は、ただの現実逃避って気がしちゃう――

「え~~っ、じゃあ…ことのにとってこれは、現実じゃないってゆーか…ムダなことなの?」
肩に乗る彼女がそう言った。眠たそうにあくびをしながら。
「あ…ううん、そんなこと…」
「…せーーっかく私が気効かせて――あ、いや」



YUG先生はとても不思議なマンガを描く人だ。
日常を舞台にした作品が多いのに、少しだけ加えられたファンタジーの要素で作品をふわっとまとめあげる。おなじくふわふわと柔らかなタッチで描かれた女の子と、ゆっくりと流れる空気の感触。そういうものが一体となって、優しいストーリーを作り上げる。
画集「おひるね ちゅっ!」は、2002年に発売された「おひるね」(現在絶版)のリニューアル作品。イラストの完全再集録に加え、デビュー初期のコミック6作品が加わった贅沢なイラスト集だ。カラーページとモノクロページが約半々、といったところ。
このコミックはまさにYUG先生の代表作ともいえる出来で、優しく描かれた世界が隅々にまで広がっている。ときには甘く、ときには酸っぱく。ふわふわとした世界の中で、ゆったりとストーリーが紡がれていく。

そしてもうひとつ。YUG先生の作品には、サイズを題材にした作品がかなり多い。食べ物を題材にした女の子のイラストや、鉛筆や消しゴムなどの静物が置かれた机に座る女の子など、しばしば小さく描かれた女の子が登場する。
このイラスト集にも『セーラー服探検隊』というカラーイラストが収録されており、タイトルの通り眠っているセーラー服の女の子の身体を同じくセーラー服を着た女の子たち(クラスメイトかな?)が探検するという直球の内容だ。正直、このイラストのためだけに画集を買ってもいいくらいの素晴らしい出来。


前置きが長くなったが、今回取り上げた『Twin Walk』も小さな女の子が登場するマンガだ。もっとも、マンガから飛び出してきた女の子という位置づけなのでswかどうかは微妙なラインだけど。もともといたマンガの世界が『彼女』にとって等身大のサイズだったので、疑似的な縮小娘ものに…なるかな?
人形のような大きさの『彼女』はことのにしか見えず、『彼女』に外の世界を教えることでことの自身もなにかを得る―というストーリーなのだけど、実際には『彼女』はインクのにおいが残っているようで、子犬に追いかけられるシーンがある。かわいい。
全体を通して小人視点のシーンは少ないものの、小さくてちょっと生意気なパートナーの細かなしぐさを眺めているのは飽きないし、心がほっこりする。実は途中からあるものを使ってことのと同じ大きさになるのだけど―トリックは読んでのお楽しみ。
この話自体はもともとアダルト誌『快楽天』に掲載されたものだが、ストーリー自体に性的な描写は無い。お風呂や下着のシーンはあるものの、全年齢向けといって差し支えないんじゃないかな。

このコミックそのものも全年齢向け。YUG先生自身はアダルト誌でお仕事をされることも多いようで、この作品にも快楽天が出典のものも多いけど、先生の作品でストレートに性的描写を描いたものは見たことが無い(私は)。
むしろ、日常に潜むほのかなエロスを柔らかく描いているのが個人的には好みかな。ぜひこの路線で活動していってほしいところ。

リニューアル版とはいえ、出版されたのがすでに10年前なのでやや手に入れにくい作品ではある。Amazonでは中古として取り扱っているみたい。
おひるね ちゅっ! YUG: http://www.amazon.co.jp/dp/4898297765/ref=cm_sw_r_tw_dp_BI5Qvb1N7PPAV


惜しむらくは、YUG先生の作品は掲載誌によってはコミックとして入手が困難なものも多く含まれるということ。
先に挙げた食べ物の擬人化集『でりしゃすが~るず』にしてもそうだが、いまとなっては入手する方法が絶えてしまったものも多く存在する。…いつかまたこういう形でまとめてもらえると嬉しいのだけど。
個人的には、快楽天で連載されていた『でりしゃすあどべんちゃーず』が読みたい。擬人化されたアリが主人公の作品で、ストレートにサイズ描写が多い隠れた名作。
コミック化もされているのだけど…もはやどこにも売ってないんだよなあ。

小っちゃいって事は…

増殖少女プラナちゃん! 第1巻/晴瀬ひろき

増えて、あふれて、もう大変。
一人で暮らす斑鳩りんねの家に一人の少女がやってきた。
その少女はプラナリアと人間の遺伝子を掛け合わせて生まれた増殖少女!
すぐ増殖してしまうプラナに、りんねの日常は少~しだけとんでもないことに?

(以上、第1巻裏あらすじより全文抜粋)


斑鳩りんね・16歳。大きな家に一人暮らし。生物学者でマッドサイエンティストなお姉ちゃんはアメリカの研究所で仕事をしてる。
今日、そのお姉ちゃんのいる研究所から国際宅急便で段ボールが届いた。お姉ちゃん、生物学者だからといっていつも研究材料とか変なものを送り付けてくるんだよね。アフリカの食人植物に致死性ウイルス、巨大アナコンダ…このどでかい段ボールもなんか嫌な予感が。
そんなことを思ってたら、ゴト、と、段ボールがひとりでに動いた!しかも私が触る前に勢いよく開いて―

「こんちには!プラナだよ!」

な…ななななな…何…この子?
あんの馬鹿姉…とうとう人間まで送ってきやがった!しかも全裸!
無邪気そうなその女の子は箱から飛び出した後も、興味深そうにキョロキョロと周りを見回している。この子…どうしたら…
…ん?箱にまだ何かのこってる。お姉ちゃんからの手紙?

『愛するりんねちゃん
 プラナはお姉ちゃんの実験で偶然できちゃった特別なコなの💛
 なんと人間ととある生物の遺伝子が混ざったミュータントなのよっ☆
 研究所には置いておけないのでとりあえず家に送るわね!
 よ・ろ・ぴ・く💛
      姉より』

だーーーっ!何が「よろぴくね」か、こっちの都合も考えずにーーーっ!!
…にしても。なんだろ?とある生物って。見た感じフツーの人間にしかみえないけれど。
「プラナはねえ、”プラナリア”からうまれたんだよーー。”まったくあたらしいいきもの”なんだってー」
プラナリア?あの再生能力が高い生物のこと?
なんて考えてると、テーブルの上を走っていたプラナがこけて――ふ、増えた!?
え、プラナリアってそういうこと!?
どうしよ、これ――なんてあいだにまたプラナがぶつかる音がして…さ、さらに増えてるーーっ!!

えーと、いち、に、さん…8人か。いや、8匹?なんか、小さいのまでいるけど…
「プラナ、おおきさはじゆうだよー。ちぎれたぶぶんがおおきければおおきく、ちいさければちいさくなる。」
な…なるほど。
しかも分裂したプラナはそれぞれが独立した自我を持っているみたいで、お互いがお互いを別のプラナだと思っているみたい。そうこうしている間にプラナ同士でケンカが始まってしまい、プラナが次から次へと増えて…
…え、増えすぎじゃない!?もう家の中に納まりきらないくらい増えてる!そのうち家のドアがプラナで決壊して、ダムみたいに溢れ出す!てゆーか、これって人類の危機レベルなんじゃ!?

と、思った次の瞬間、ポンッ、と音がして、1人のプラナだけを残して後は消えた。え、なに?
「プラナ、さんじゅっぷんたつと、もとにもどるよ。」
それを…早く言って…



第8話:プラナちゃん、裏庭のサバイバル

「せいれつ!ばんごー!」

ある晴れた夏の日。プラナはプリンの置かれた机の上で、自身の小っちゃな分身を5体も並べていた。その小ささたるや今まで分裂した中でも飛びぬけていて、数センチもないくらいの大きさだ。
「そんなに小さくなって何するつもり?プラナ」
「じっけん!」
星型の目をキラキラさせながらプラナが答える。
「ちいさくなって、プリンおなかいっぱいたべるじっけん!!」
そんなことのためか…小さい服作のすげー大変だったんですけど……
「プラナ、ふくとかなくてもいいのにー」
「素っ裸でうろうろされるとわたしが気になるんだって」
―分裂したプラナはそれぞれ自我を持っているけど、意識や知識については全部共有している。小さいプラナが巨大なプリンを食べれば、大きいプラナにもその情報が共有されるというわけだ。

「それではいざ…」
ごくり…と唾を飲んでプリンを見つめる。
と、その瞬間。首ふり式の扇風機がちっちゃなプラナたちのいるほうに向いて、ゴーッという音とともに全員を吹き飛ばしてしまった!
「あーーーっ」「あああああ、みんなーっ」
あわれ、ちっちゃな5人は開いた窓から裏庭に…なんかこんな映画昔あったような…

5人が落ちた場所は、裏庭の中でも鬱蒼としたところ。夏の昼間だというのに、そこらじゅうに草が生い茂っているせいであたりが薄暗い。
「ううう、こわいよー」「くらいよー」「いえにかえりたいよー」
口々に不満を漏らす小プラナたち。でもリーダー格の小プラナはしっかりしていた。
「おちついて!30ぷんたったらもとにもどる!だからだいじょう……」
大丈夫、と言おうとしたのだろう。だがその背後には恐ろしい怪獣、いや、カマキリの姿が!
「ひああああああ、かいじゅうううぅぅ!!」
全力で逃げだす小プラナたち!!

「はあ、はあ」「じごく…うらにわはじごくか……」
なんとか逃げ延びたプラナ一行。恐ろしい目にあったけど。
「こうなったら、みんなでちからあわせて、いえにかえるよ!」
決意を新たに、家に向かって踏み出す!
「そして、こんどこそかならず、ぷりんをおなかいっぱい!」「たいちょー、りょうかいであります!」
気を取り直して、玄関へ向けて進軍!していたのだけど…
ズン、と、身体を震わせるような音があたりに響いた。
「な、なに…?」
ズン…ズン…と近づいてくるそれは―ネコだ!
幸いにも、大きさが違いすぎるせいかこちらには気づいていない様子。必死で声を潜め、草陰に身を隠して…
「ふう…いったか…」
なんとかやり過ごしたようだ。さすがにこの大きさでネコに目をつけられたら勝ち目は無い。

ほっとしたのもつかの間、今度は全員で足を滑らせて坂を転がり落ち、草の上に溜まっていた露にひとりのプラナがダイブ!
「がぼぼぼ、ぼぼっ、おっおほ゛れ゛るっ」「プ、プラナっ」
残る4人で力を合わせ、せーのでプラナの足を引っ張る!思いっきり力を掛けて―なんとか引っ張り出した。
「つかれ…た…」
葉っぱの上で横たわるプラナ一行。そのとき、たいちょうプラナが立ちあがった。
「でも…ここをのぼれば、もう玄関だよ…!」
そう。プラナたちはついに玄関前の石段にたどり着いたのだ!遥か彼方に見える玄関を見上げ、決意を新たにする。
「みんないくよ!」「おー!」

プラナたちは石段の側面を登っていく。小さくなっているから、ちょっとしたでこぼこを足掛かりにすることができるのだ。
くじけそうになりながらも石の壁を登っていき、もう少しで頂上―というときに、近くから、ガサガサ、と不気味な音が。そっちを見ると…
「さ、さっきのカマカマーーっ!!」
「にげーーーーっ!」
やすやすと壁を登りくる怪物カマキリ!
「は…はやくげんかんのなかへ!」
ギリギリで登り切ったプラナたち、だが最後のひとりが間に合わない!もうだめだ、と思ったそのとき―
バクン、と音がして、カマキリがより大きな影に咥えられた。
「とり…」
どん、とあらわれたのはスズメ。とりあえずは助かっ…て、ない!こんどはスズメがすごい勢いでこっちをついばんできた!?
「ししし、しんじゃうーーっ!」
スズメの猛攻に成す術も無く逃げ回るプラナ一行。玄関はすぐ目の前なのに…!
「も、もうだめ……」
プラナが敗北を悟った瞬間―ズン、という音ともになにかが起こった。
…片足でスズメを仕留めたネコは、エサのスズメを咥えたままその場を去って行った。
「た…たすかった……」「これがじゃくにくきょうしょく…」

なにもかもが終わった後で、すべてのプラナの意識を共有しているプラナは真剣な眼差しでりんねに語るのであった。
「りんね!だいしぜんはおそろしい!」

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