スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

おおきくなりたい

ちいさいえりちゃん/村山早紀 作 飯野和好 絵

えりちゃんは いつも ふまんでした。
パパも ママも、まりこねえちゃんも、えりちゃんの ことを、"ちいさい えりちゃん"」って、よぶからです。
それは、えりちゃんは、パパよりも ママよりも、ちいさいです。まりこねえちゃんよりも ちいさいです。でも、もう、おつかいだって できるんです。おてつだいだって できるんです。おきゃくさんにも、ちゃんと ごあいさつが できます。そんなとき、おきゃくさんたちは、
「えらいねえ。えりちゃんは、もう、おねえちゃんだねえ。」
って、にこにこして いってくれるのに、パパも ママも、
「いいえ。まだまだ ちいさくて。」
って いうのです。
そうして、えりちゃんの ことを、いつも、こう よびます。
――ちいさい えりちゃん!――

(以上、本書冒頭より抜粋)


「わたし、"おねえちゃん"って、よばれてみたいなあ。」
えりちゃんがため息をつくと、ねこのルナが言いました。
「えりちゃん、森へ いってみたら?森の どうぶつたちなら、どうしたらいいか おしえてくれるかもしれないもの。」

森は、えりちゃんの家の近くにありました。えりちゃんは、暗くて細い曲がりくねった道を歩きながら、呼びました。
「どうぶつさーん、どこですか?」
すると、森から太い大きな声がしました。
「えりちゃんかい?こんにちは」
それはおおかみでした。口の大きなおおかみを見て、えりちゃんは怯えます。
でもそのおおかみは、やさしいおおかみでした。えりちゃんを森の奥の自分の家に連れていき、とてもおいしいクッキーとココアをごちそうしてくれました。

「ところで、えりちゃんは、どうして 森に きたの?」
「わたし、"おねえちゃん"って、よんでほしいの。どうしたらいいのかな?」
「なあんだ。かんたんじゃないか。」
おおかみは笑いました。
「えりちゃんの おねえちゃんを、たべちゃえば いいんだよ」

「でも、どうして、まりこねえちゃんを たべたら、わたしが"おねえちゃん"って よんでもらえるようになるの?」
「だって、おねえちゃんが いるから、えりちゃんは いもうとなんだろう?なら、いなかったら――?」
「そうか。わたしが おねえちゃんなんだ!」
なるほど。それは素敵なアイデアです。よし、まりこねえちゃんに、消えてもらいましょう。
「ぼくは、もう、にんげんとか どうぶつとかを たべたくないからさ、えりちゃんが おねえちゃんを たべればいいよ。」
そう言って、おおかみはえりちゃんに不思議なスパイスのびんをくれました。
「この スパイスをね、ぱっぱって かければ、どんなものでも、一口で ぱっくんって、たべられるから。」

えりちゃんは、嬉しくって走って家に帰りました。
これで、"ちいさい えりちゃん"とは、さようならです。それに、まりこねえちゃんがいなくなってくれるのって、なんだか素敵なことのような気がします。
えりちゃんが家に帰ると、まりこねえちゃんは寝転んでテレビを見ていました。

「おそかったわね。ちいさい えりちゃん。」
って言ったまりこねえちゃんに、えりちゃんは、魔法のスパイスをぱっぱっとかけました。
すると、まりこねえちゃんは寝転んだ姿勢のままどんどん小さくなっていきます。そうして、お煎餅よりも小さくなったまりこねえちゃんを、えりちゃんはぱっくんと呑みこんでしまいました。

「これで、わたしが おねえちゃんなんだ!」
えりちゃんはテレビの前に寝転びました。そうして、好きなだけテレビを見ました。リモコンで、チャンネルをどんどん変えました。

―ところが、ひとりでテレビを見ていても面白くありません。パパは帰ってくるのがいつも遅いし、ママも今日はなかなか帰ってきません。
そのうち、夕方になりました。えりちゃんは部屋にひとりきりです。部屋の隅っこの暗いところは、なんだかしんとしています。えりちゃんは、だんだん怖くなってきました。

「――まりこねえちゃん。」
えりちゃんは、そっとお腹に呼びかけてみました。でも、お腹の中からはなんの返事もありません。



ひさびさに絵本。正確には児童書。低学年向けの本で、絵が多めで読み聞かせ向き。
タイトルの通り「ちいさいえりちゃん」が主人公のお話なのだけど、ここでの「ちいさい」とは年齢のこと。みんなに「ちいさい」って言われるのが嫌なえりちゃんが、いろんな動物の助けを借りながら「ちいさいえりちゃん」じゃなくなる方法を探す、というお話。
話の内容的には、兄や姉がいる子供向けなのかな。「ちいさい」ってどういうことだろう?どうすれば、「おおきく」なれるんだろう。そんな純朴な疑問が、子供の目を通して優しく描かれている。

この本は三部構成になっている。その第一部が「お姉ちゃんを自分より小さくして食べてしまう」というストーリー。
お姉ちゃんがいなくなれば自分は妹じゃなくなる、というとても分かりやすいロジックだけど…さて、えりちゃんはどうなったのかな。

子供向けなのでストーリーは短めだけど、お姉ちゃんが小さくなっていく場面にはカラーで挿絵がある。残念ながらお姉ちゃんを食べるシーンには挿絵が無い。
絵柄は独特というか、児童書によく合う温かみのあるタッチ。有名なイラストレーターさんなので、自分が子供の頃に見たことあるっていう人も多いんじゃないかな。

ちなみに、第二部ではえりちゃんがまりこねえちゃんより大きくなるお話。大人になりたい、って意味で魔女から呪文を教えてもらったのに、なぜか森の木々よりもずっと大きくなっちゃって…というストーリー。こちらは割とページ数が多かった。

どうしても児童向けなので文章量は少なく、サイズ要素を期待して読むと肩すかしをくらうかも。ただ、児童書としてはとてもいい本で、子供はきっとこういうお話を喜ぶだろう。もし誰かに本の読み聞かせとかをすることがあるなら、検討してみてもいいんじゃないかな。
こういう本はよく図書館の児童向けコーナーとかに置いてあるので、見つけたら読んでみるくらいの気持ちでいいと思う。…ちょっと周りの目が気になるけど。
もちろん子供向けに買う本としてはおススメできる一冊。親戚の二人目のお子さんとかにあげるには悪くないチョイスかも。

ちいさいえりちゃん (あかねおはなし図書館) 村山 早紀
http://www.amazon.co.jp/dp/4251037200/ref=cm_sw_r_tw_dp_aQOAvb1D878FB
スポンサーサイト

絵本の定番。定番?

ゆめいっぱい みんなプリンセス おんなのこのめいさくえほん/文:ささき あり

懲りずに絵本を買う。今回買ったのは女の子向けの名作が24篇入ったオールカラー版。値段が1600円だったので、一話あたり約67円というお買い得っぷり。題材は古今東西を問わず、「ヘレン・ケラー」や「マザー・テレサ」などの伝記も含まれている。表紙は不思議の国のアリスがメイン。
全24篇に対して7人のイラストレーターが挿絵しているのだけど、どれも萌え絵というか絵柄がポップ。それが絵本にそぐわないという訳ではなく、鮮やかなパステルカラーで描かれた数々の絵は確かに幼い女の子が読むには適しているだろう。もちろん元が残酷な童話だろうとグロ成分は無し。「あかいくつ」だって安心して読めるぞ。


おやゆびひめ/絵:七海 トモロウ
10ページ。序盤の展開が妙に速い一方でモグラと会ってからが結構ある。子供のいない女の人が育てた花から生まれたりその女の人と遊ぶシーンもカットされて、2ページ目でいきなりカエルに攫われてたからちょっとびっくりした。
展開は速いがストーリーは基本的に原作どおりで、テンポ良く話が進む。ただ大きさを感じさせる描写は少なく、こおなご目的で読むものではないかな。ヒキガエルやツバメ以外は基本的に同じ大きさの生き物との絡みが多いし、身体が小さいからどうにかなる話では元々無いと言ってしまえばそれまでなんだけど…前も似たようなこと書いたな。
確か原作だとツバメは親指姫が首元に隠れられるくらい大きかったり、本当は親指姫が好きなのに花の王子との結婚を祝福したりと結構いいキャラなんだよね。

ふしぎのくにのアリス/絵:和錆
12ページ。イラストの人、有名な方みたい。すごくつやつやキラキラした彩度の高いイラストで、絵本の他の話と比較しても存在感がある。「シンデレラ」もこの人が挿絵してるけど、なんか意地悪なお姉さんたちまでかわいいぞ。
原作が結構長い話なので、12ページに圧縮してもかなり足りない。そのためかところどころのエピソードを省いており、細長い広間のシーンから直接イモムシのシーンにつながる。省かれているのは「コーカス・レース」「トカゲのビル(家の中で巨大化)」「大きな仔犬」「ブタとコショウ」など…やっぱり大きな仔犬は省かれる運命なのか…幼児向けの解釈なので詩や難しい言葉遊びは無く、あくまで世界観を味わうことに特化している。まあこれでいいんじゃないかな。
とはいえ、広間で大きくなったり小さくなったりするシーンが結構丁寧に描かれていたため個人的には満足。小さくなっているイラストはクスリを飲んだ後、涙の海に溺れるアリス、キノコの上のイモムシを見上げるアリスの3つ。大きくなっているイラストが広間で泣いているアリスの1枚。小さい状態のイラストのほうが多い作品は結構珍しい。幼児向けとはいえ、イラストはどれもポップで精緻。
あと裁判のシーンもあるんだけど、なぜかアリスはあまり大きく描写されていなかった。

あとは「ねずみの よめいり」とか「みつばちマーヤ」とかもあるけど人間じゃないので今回は割愛。ボリュームの割りに値段が安いので、親戚の子供とかに買ってあげるには最適かも。有名どころが揃っているのだが、私が一通り読んだら結構知らない話があった。「ゆきおんな」はともかく、「アルプスの しょうじょ ハイジ」とか初めてまともに読んだ。夢遊病でレイプ目のまま歩き回るハイジが妙にかわいいです。

大人のためのこどもの絵本

ママ ちいさくなーれ!(Mommy Go Away!)/文:リン・ジョネル 絵:ペトラ・マザーズ 訳:小風 さち
『ぼくがあそんでいると、ママはいっつも「あれしなさい!これしなさい!」っていう。
 もう!ママなんか、どっか いっちゃえ!ママ、ちいさくなーれ!』
(以上絵本帯より一部抜粋)

タイトルだけでビンビンきちゃう!と、不純な動機で購入。
中身は優しい母子の読み聞かせ絵本でした。私の心は汚れています。
あらすじは次の通り。

『いつもママに小言を言われるこどもの「ぼく」。怒って「ママ、ちいさくなーれ」と唱えると、ほんとにママは小さくなった。ぼくの小さなボートに乗せて、ママはお風呂の海へとさようなら。でも、ママはつよいから大丈夫だよね。』

終始風呂場のシーンで場面が進む、単純明快な立場逆転もの。「なみがきたらどうしよう?」「おおきなうみアヒル(お風呂場のアレです)がおそってきたら?」「おぼれちゃったらどうするの?」そんなママの不安に対して、ぼくは大丈夫、大丈夫と相槌を打つ、短いお話。「自分でなんとかしなよ」ではなく、「ぼくがたすけてあげる」というやりとりが、本当はママにいじわるしたいわけじゃない暖かい気持ちが伝わってくる。母子の立場が逆転し、ぼくがママの立場で話していることになるが、こういうやりとりができる当たりぼくはちゃんと母親の優しさを理解していたみたい。

冒頭に読み聞かせと書いたが、実際母親が子供に読んで聞かせることを想定して作られているようだ。こういったプロットだと、あんなに邪険にしてたママがいないと困ることがいっぱい、というストーリーを思い描いてしまうが、困るのは強がっていたママばかり。読み聞かせている「ママ」がハッとするようなお話になっている。「いつも つよいってわけじゃないの。たすけて!」というセリフは、読み聞かせている子供にどういう印象を与えるのだろう。

絵柄は子供がクレヨンで描いたような絵柄、とでも言えばいいのか、非常にシンプルで記号的、そして暖かい。カロリーヌの項でも書いたが、萌えとかを期待するようなものではない。
外国の絵本なのだが、原題「Mommy Go Away!(ママなんかどっかいっちゃえ!)」を「ママ ちいさくなーれ」と優しいことばに変えた翻訳者に小さく拍手。


ALICE IN WONDERLAND Picture Book/木下 さくら

不思議の国のアリスの絵本…と思ったら、これ絵本じゃなくてピクチャーブックらしいです。違いがよく分からないけど、子供が読むことを想定して描いたわけではなさそう。
ストーリーは結構忠実に原作をなぞっているけど、ノリがいいというかやたらテンションが高い。でも、実際の原作もこういうノリなので、親和性は案外良いみたい。私はあまりこの漫画家さんを知らないのだが、理不尽な世界観とか子供らしさが前面に表現されたアリスとかがきちんと描かれているあたり、結構真摯にアリスを愛しているのかなと感じた。というか、お茶会のシーンが原作どおりに描かれている作品を初めて見た気がする。
特筆すべきは各章ごとにアリスの外見が変わるということ。…説明が難しいが、チャプターが変わるごとにアリスの服装や髪型、髪の色までコロコロ変わる。全9章を通して、エプロンドレスのアリスから青髪のゴスロリ、ショートウェーブのアリスまでいろいろなアリスが出てくる。でも、どのキャラクターを見ても「アリス」と認識できるのは作者がきちんとアリスの記号を理解している証拠。アリス自体の展覧会というか、本自体もアリス世界の博覧会というか…うん?ピクチャーブックってそういう意味か?

アリスのもうひとつの見所はもちろん縮小化と巨大化!なのだが、どちらも描写はあっさり。どちらかというと巨大化のほうが見所があり、家の中で窮屈そうに大きくなるアリスは結構かわいい。でも、大きな仔犬のシーンはカットされてて…あれ、このレビュー、以前も書いた気が。
原作の不思議な雰囲気と、かわいいアリスの両方を味わいたいという人にオススメ。不思議の国のアリスはもともと言葉遊びがカギであり、日本語への翻訳が非常に難しい作品のひとつなのだが、ギャグテイストの軽いノリでその垣根を感じさせない、ある意味稀有な作品。

私が購入したのはハードカバー版だったらしく、小さな設定資料集が付いていた。ほか、安価なコミック版も販売されています。

絵本2題

ふしぎの国のアリス(POP WORLD)/著:はやの みちよ 絵:ぽっぷ
『へんてこな白ウサギのあとをおいかけて、ふしぎの国にまよいこんだアリス。そこで見つけた、小さなびんのくすりをのむと、アリスの体はきゅーんと小さくなってしまったのです。』
(以上絵本帯より抜粋)

…という紹介文を見て衝動買いした絵本。きゅーんという表現でグッときた。「もえたん」のぽっぷさんのイラストだし、当たりかもしれない!
…で、中身は当然普通の不思議の国のアリス。大きな仔犬とトカゲのビルのシーンはカットされていた。個人的に好きなシーンだったので少し残念。
小さいアリスのイラストも何枚かあったけど、風景に対して小さく描かれているだけなので、巨大な生物などの対比とかを期待すると肩透かしを食らう。小人化や巨大化のシーンももっとじっくり描いてくれれば…でもイラストは本当に綺麗です。
逆に大きなアリスのイラストは2枚しかないが、こちらは巨大感が十分に表現されている「わかっている」描き方。特に裁判中に大きくなるシーンのイラストが良い。GTSファンにはオススメできるか。
このシリーズ、おやゆびひめもあるんだけど買うべきか否か…


カロリーヌの ガリバーりょこう(カロリーヌと ゆかいな8ひき)/作:ピエール・プロブスト 訳:やました はるお
『今日はカロリーヌの誕生日。かわいい8ひきの仲間たちは、『ガリバーのぼうけんりょこう』をプレゼントしました。その本を読むうちに、カロリーヌはガリバーの世界にまぎれこんでしまって…』
(以上絵本帯より抜粋)

この絵本、過去にフランスから出版されていたカロリーヌシリーズという連作物らしい。ただ、調べた限り本作は過去作の焼き直しではなく、完全にオリジナルの話のようである(多分)。
ゆかいな8ひきとは、イヌやネコなどの(人語を解する)カロリーヌの友達のこと。
ガリバー旅行記は主人公が男だし、そもそもで小人や巨人の国を訪れる話だから巨大化も小人化もしていない。大抵の話はsw的要素が薄いのだけど、この絵本はちょっとした例外。以下あらすじ。

『カロリーヌが訪れるのはリリパット国とブロブディングナグ国…ではなく、小さなイヌ達が暮らすちびいぬ国と巨大なネコ達が暮らすでかねこ島。―ちびいぬ国を離れたカロリーヌはでかねこ島についた途端、巨大な白猫と黒猫に釣り上げられて連れ去られてしまいます。その猫達は、ついさっきまで川辺で釣りをしていたゆかいな8ひきの仲間、プフとノワローにそっくり!カロリーヌは巨大な2匹のおもちゃにはなるまいと野菜畑へと逃げ出しますが、たちまち見つかって鳥かごの中に閉じ込められてしまいます…』

というもの。つまり、『いつも一緒に遊んでいる子猫2匹に逆におもちゃにされてしまう』という点がsw的。絵本というのは文や挿絵は少ないけど、書かれている場面を自由に想像できるように作られており、その世界にスッと入り込めるのが魅力。野菜畑を巨大なプフから逃げ回る場面や、ノワローに捕まって鳥かごに入れられる場面は、イラストも相まってなかなか良い。短いながらも秀逸な作品だと思う。
ちなみに挿絵はいわゆる外国の絵なので、先ほどのぽっぷのような日本的萌え要素を期待するのは間違い。いや、かわいいんですけどね、カロリーヌ。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。