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おおきくなりたい

ちいさいえりちゃん/村山早紀 作 飯野和好 絵

えりちゃんは いつも ふまんでした。
パパも ママも、まりこねえちゃんも、えりちゃんの ことを、"ちいさい えりちゃん"」って、よぶからです。
それは、えりちゃんは、パパよりも ママよりも、ちいさいです。まりこねえちゃんよりも ちいさいです。でも、もう、おつかいだって できるんです。おてつだいだって できるんです。おきゃくさんにも、ちゃんと ごあいさつが できます。そんなとき、おきゃくさんたちは、
「えらいねえ。えりちゃんは、もう、おねえちゃんだねえ。」
って、にこにこして いってくれるのに、パパも ママも、
「いいえ。まだまだ ちいさくて。」
って いうのです。
そうして、えりちゃんの ことを、いつも、こう よびます。
――ちいさい えりちゃん!――

(以上、本書冒頭より抜粋)


「わたし、"おねえちゃん"って、よばれてみたいなあ。」
えりちゃんがため息をつくと、ねこのルナが言いました。
「えりちゃん、森へ いってみたら?森の どうぶつたちなら、どうしたらいいか おしえてくれるかもしれないもの。」

森は、えりちゃんの家の近くにありました。えりちゃんは、暗くて細い曲がりくねった道を歩きながら、呼びました。
「どうぶつさーん、どこですか?」
すると、森から太い大きな声がしました。
「えりちゃんかい?こんにちは」
それはおおかみでした。口の大きなおおかみを見て、えりちゃんは怯えます。
でもそのおおかみは、やさしいおおかみでした。えりちゃんを森の奥の自分の家に連れていき、とてもおいしいクッキーとココアをごちそうしてくれました。

「ところで、えりちゃんは、どうして 森に きたの?」
「わたし、"おねえちゃん"って、よんでほしいの。どうしたらいいのかな?」
「なあんだ。かんたんじゃないか。」
おおかみは笑いました。
「えりちゃんの おねえちゃんを、たべちゃえば いいんだよ」

「でも、どうして、まりこねえちゃんを たべたら、わたしが"おねえちゃん"って よんでもらえるようになるの?」
「だって、おねえちゃんが いるから、えりちゃんは いもうとなんだろう?なら、いなかったら――?」
「そうか。わたしが おねえちゃんなんだ!」
なるほど。それは素敵なアイデアです。よし、まりこねえちゃんに、消えてもらいましょう。
「ぼくは、もう、にんげんとか どうぶつとかを たべたくないからさ、えりちゃんが おねえちゃんを たべればいいよ。」
そう言って、おおかみはえりちゃんに不思議なスパイスのびんをくれました。
「この スパイスをね、ぱっぱって かければ、どんなものでも、一口で ぱっくんって、たべられるから。」

えりちゃんは、嬉しくって走って家に帰りました。
これで、"ちいさい えりちゃん"とは、さようならです。それに、まりこねえちゃんがいなくなってくれるのって、なんだか素敵なことのような気がします。
えりちゃんが家に帰ると、まりこねえちゃんは寝転んでテレビを見ていました。

「おそかったわね。ちいさい えりちゃん。」
って言ったまりこねえちゃんに、えりちゃんは、魔法のスパイスをぱっぱっとかけました。
すると、まりこねえちゃんは寝転んだ姿勢のままどんどん小さくなっていきます。そうして、お煎餅よりも小さくなったまりこねえちゃんを、えりちゃんはぱっくんと呑みこんでしまいました。

「これで、わたしが おねえちゃんなんだ!」
えりちゃんはテレビの前に寝転びました。そうして、好きなだけテレビを見ました。リモコンで、チャンネルをどんどん変えました。

―ところが、ひとりでテレビを見ていても面白くありません。パパは帰ってくるのがいつも遅いし、ママも今日はなかなか帰ってきません。
そのうち、夕方になりました。えりちゃんは部屋にひとりきりです。部屋の隅っこの暗いところは、なんだかしんとしています。えりちゃんは、だんだん怖くなってきました。

「――まりこねえちゃん。」
えりちゃんは、そっとお腹に呼びかけてみました。でも、お腹の中からはなんの返事もありません。



ひさびさに絵本。正確には児童書。低学年向けの本で、絵が多めで読み聞かせ向き。
タイトルの通り「ちいさいえりちゃん」が主人公のお話なのだけど、ここでの「ちいさい」とは年齢のこと。みんなに「ちいさい」って言われるのが嫌なえりちゃんが、いろんな動物の助けを借りながら「ちいさいえりちゃん」じゃなくなる方法を探す、というお話。
話の内容的には、兄や姉がいる子供向けなのかな。「ちいさい」ってどういうことだろう?どうすれば、「おおきく」なれるんだろう。そんな純朴な疑問が、子供の目を通して優しく描かれている。

この本は三部構成になっている。その第一部が「お姉ちゃんを自分より小さくして食べてしまう」というストーリー。
お姉ちゃんがいなくなれば自分は妹じゃなくなる、というとても分かりやすいロジックだけど…さて、えりちゃんはどうなったのかな。

子供向けなのでストーリーは短めだけど、お姉ちゃんが小さくなっていく場面にはカラーで挿絵がある。残念ながらお姉ちゃんを食べるシーンには挿絵が無い。
絵柄は独特というか、児童書によく合う温かみのあるタッチ。有名なイラストレーターさんなので、自分が子供の頃に見たことあるっていう人も多いんじゃないかな。

ちなみに、第二部ではえりちゃんがまりこねえちゃんより大きくなるお話。大人になりたい、って意味で魔女から呪文を教えてもらったのに、なぜか森の木々よりもずっと大きくなっちゃって…というストーリー。こちらは割とページ数が多かった。

どうしても児童向けなので文章量は少なく、サイズ要素を期待して読むと肩すかしをくらうかも。ただ、児童書としてはとてもいい本で、子供はきっとこういうお話を喜ぶだろう。もし誰かに本の読み聞かせとかをすることがあるなら、検討してみてもいいんじゃないかな。
こういう本はよく図書館の児童向けコーナーとかに置いてあるので、見つけたら読んでみるくらいの気持ちでいいと思う。…ちょっと周りの目が気になるけど。
もちろん子供向けに買う本としてはおススメできる一冊。親戚の二人目のお子さんとかにあげるには悪くないチョイスかも。

ちいさいえりちゃん (あかねおはなし図書館) 村山 早紀
http://www.amazon.co.jp/dp/4251037200/ref=cm_sw_r_tw_dp_aQOAvb1D878FB
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小っちゃいって事は…

増殖少女プラナちゃん! 第1巻/晴瀬ひろき

増えて、あふれて、もう大変。
一人で暮らす斑鳩りんねの家に一人の少女がやってきた。
その少女はプラナリアと人間の遺伝子を掛け合わせて生まれた増殖少女!
すぐ増殖してしまうプラナに、りんねの日常は少~しだけとんでもないことに?

(以上、第1巻裏あらすじより全文抜粋)


斑鳩りんね・16歳。大きな家に一人暮らし。生物学者でマッドサイエンティストなお姉ちゃんはアメリカの研究所で仕事をしてる。
今日、そのお姉ちゃんのいる研究所から国際宅急便で段ボールが届いた。お姉ちゃん、生物学者だからといっていつも研究材料とか変なものを送り付けてくるんだよね。アフリカの食人植物に致死性ウイルス、巨大アナコンダ…このどでかい段ボールもなんか嫌な予感が。
そんなことを思ってたら、ゴト、と、段ボールがひとりでに動いた!しかも私が触る前に勢いよく開いて―

「こんちには!プラナだよ!」

な…ななななな…何…この子?
あんの馬鹿姉…とうとう人間まで送ってきやがった!しかも全裸!
無邪気そうなその女の子は箱から飛び出した後も、興味深そうにキョロキョロと周りを見回している。この子…どうしたら…
…ん?箱にまだ何かのこってる。お姉ちゃんからの手紙?

『愛するりんねちゃん
 プラナはお姉ちゃんの実験で偶然できちゃった特別なコなの💛
 なんと人間ととある生物の遺伝子が混ざったミュータントなのよっ☆
 研究所には置いておけないのでとりあえず家に送るわね!
 よ・ろ・ぴ・く💛
      姉より』

だーーーっ!何が「よろぴくね」か、こっちの都合も考えずにーーーっ!!
…にしても。なんだろ?とある生物って。見た感じフツーの人間にしかみえないけれど。
「プラナはねえ、”プラナリア”からうまれたんだよーー。”まったくあたらしいいきもの”なんだってー」
プラナリア?あの再生能力が高い生物のこと?
なんて考えてると、テーブルの上を走っていたプラナがこけて――ふ、増えた!?
え、プラナリアってそういうこと!?
どうしよ、これ――なんてあいだにまたプラナがぶつかる音がして…さ、さらに増えてるーーっ!!

えーと、いち、に、さん…8人か。いや、8匹?なんか、小さいのまでいるけど…
「プラナ、おおきさはじゆうだよー。ちぎれたぶぶんがおおきければおおきく、ちいさければちいさくなる。」
な…なるほど。
しかも分裂したプラナはそれぞれが独立した自我を持っているみたいで、お互いがお互いを別のプラナだと思っているみたい。そうこうしている間にプラナ同士でケンカが始まってしまい、プラナが次から次へと増えて…
…え、増えすぎじゃない!?もう家の中に納まりきらないくらい増えてる!そのうち家のドアがプラナで決壊して、ダムみたいに溢れ出す!てゆーか、これって人類の危機レベルなんじゃ!?

と、思った次の瞬間、ポンッ、と音がして、1人のプラナだけを残して後は消えた。え、なに?
「プラナ、さんじゅっぷんたつと、もとにもどるよ。」
それを…早く言って…



第8話:プラナちゃん、裏庭のサバイバル

「せいれつ!ばんごー!」

ある晴れた夏の日。プラナはプリンの置かれた机の上で、自身の小っちゃな分身を5体も並べていた。その小ささたるや今まで分裂した中でも飛びぬけていて、数センチもないくらいの大きさだ。
「そんなに小さくなって何するつもり?プラナ」
「じっけん!」
星型の目をキラキラさせながらプラナが答える。
「ちいさくなって、プリンおなかいっぱいたべるじっけん!!」
そんなことのためか…小さい服作のすげー大変だったんですけど……
「プラナ、ふくとかなくてもいいのにー」
「素っ裸でうろうろされるとわたしが気になるんだって」
―分裂したプラナはそれぞれ自我を持っているけど、意識や知識については全部共有している。小さいプラナが巨大なプリンを食べれば、大きいプラナにもその情報が共有されるというわけだ。

「それではいざ…」
ごくり…と唾を飲んでプリンを見つめる。
と、その瞬間。首ふり式の扇風機がちっちゃなプラナたちのいるほうに向いて、ゴーッという音とともに全員を吹き飛ばしてしまった!
「あーーーっ」「あああああ、みんなーっ」
あわれ、ちっちゃな5人は開いた窓から裏庭に…なんかこんな映画昔あったような…

5人が落ちた場所は、裏庭の中でも鬱蒼としたところ。夏の昼間だというのに、そこらじゅうに草が生い茂っているせいであたりが薄暗い。
「ううう、こわいよー」「くらいよー」「いえにかえりたいよー」
口々に不満を漏らす小プラナたち。でもリーダー格の小プラナはしっかりしていた。
「おちついて!30ぷんたったらもとにもどる!だからだいじょう……」
大丈夫、と言おうとしたのだろう。だがその背後には恐ろしい怪獣、いや、カマキリの姿が!
「ひああああああ、かいじゅうううぅぅ!!」
全力で逃げだす小プラナたち!!

「はあ、はあ」「じごく…うらにわはじごくか……」
なんとか逃げ延びたプラナ一行。恐ろしい目にあったけど。
「こうなったら、みんなでちからあわせて、いえにかえるよ!」
決意を新たに、家に向かって踏み出す!
「そして、こんどこそかならず、ぷりんをおなかいっぱい!」「たいちょー、りょうかいであります!」
気を取り直して、玄関へ向けて進軍!していたのだけど…
ズン、と、身体を震わせるような音があたりに響いた。
「な、なに…?」
ズン…ズン…と近づいてくるそれは―ネコだ!
幸いにも、大きさが違いすぎるせいかこちらには気づいていない様子。必死で声を潜め、草陰に身を隠して…
「ふう…いったか…」
なんとかやり過ごしたようだ。さすがにこの大きさでネコに目をつけられたら勝ち目は無い。

ほっとしたのもつかの間、今度は全員で足を滑らせて坂を転がり落ち、草の上に溜まっていた露にひとりのプラナがダイブ!
「がぼぼぼ、ぼぼっ、おっおほ゛れ゛るっ」「プ、プラナっ」
残る4人で力を合わせ、せーのでプラナの足を引っ張る!思いっきり力を掛けて―なんとか引っ張り出した。
「つかれ…た…」
葉っぱの上で横たわるプラナ一行。そのとき、たいちょうプラナが立ちあがった。
「でも…ここをのぼれば、もう玄関だよ…!」
そう。プラナたちはついに玄関前の石段にたどり着いたのだ!遥か彼方に見える玄関を見上げ、決意を新たにする。
「みんないくよ!」「おー!」

プラナたちは石段の側面を登っていく。小さくなっているから、ちょっとしたでこぼこを足掛かりにすることができるのだ。
くじけそうになりながらも石の壁を登っていき、もう少しで頂上―というときに、近くから、ガサガサ、と不気味な音が。そっちを見ると…
「さ、さっきのカマカマーーっ!!」
「にげーーーーっ!」
やすやすと壁を登りくる怪物カマキリ!
「は…はやくげんかんのなかへ!」
ギリギリで登り切ったプラナたち、だが最後のひとりが間に合わない!もうだめだ、と思ったそのとき―
バクン、と音がして、カマキリがより大きな影に咥えられた。
「とり…」
どん、とあらわれたのはスズメ。とりあえずは助かっ…て、ない!こんどはスズメがすごい勢いでこっちをついばんできた!?
「ししし、しんじゃうーーっ!」
スズメの猛攻に成す術も無く逃げ回るプラナ一行。玄関はすぐ目の前なのに…!
「も、もうだめ……」
プラナが敗北を悟った瞬間―ズン、という音ともになにかが起こった。
…片足でスズメを仕留めたネコは、エサのスズメを咥えたままその場を去って行った。
「た…たすかった……」「これがじゃくにくきょうしょく…」

なにもかもが終わった後で、すべてのプラナの意識を共有しているプラナは真剣な眼差しでりんねに語るのであった。
「りんね!だいしぜんはおそろしい!」

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