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リトル・リトル・ファンタジー

りとる2☆ミラクル/にしむらともこ

「おとぎ話」って知ってる?

お姫様に、魔法使いに、ドラゴン。
そんなドキドキハラハラの、夢物語――

そう 「夢物語」だと思ってた―

あの日までは――



今日こそ…今日こそ春日君に話しかけるんだっ!
放課後の図書室、窓辺にたたずむ美少年を見つめて、新菜は静かな決意をたぎらせていた。
憧れの春日君、なんとか彼と話す機会を作ろうと…したけど、大勢の春日君のファンクラブの子たちに突き飛ばされて本棚にぶつかって―あっ!うっかり高そうな本やぶっちゃった!どっ、ど~しよ~~…
「あの…だいじょうぶ?」
背後から急に話しかけられて、新菜はおもわずその本を懐に隠してしまう。
「う…うん。だいじょう…ぶ…」
「ホントに?ケガはない?清水さん」
春日君…
「う…ん」
「そう?よかった」
そう言って笑う春日君。
う…わーーーい♡

家に帰ってからも新菜は浮かれっぱなし。春日君に、名前よばれちゃった~~♡
新菜は仲を取り持ってくれた本に感謝しつつ、セロハンテープで破れたところをぺたぺたと貼りなおしていた。
―でも…思わずだまって持ってきちゃったけど、この本なんなんだろう。
タイトルもないし、貸し出しカードも入ってない…なんか、外国の絵本っぽいけど…字、読めないし。
不思議に思いながらも本を見つめる新菜。背後の窓から満月の光が本を照らして―光った。
「え?」
驚く間もなく、本から光が溢れてくる―!!

―気が付くと、新菜は別の世界にいた。木々を揺らして吹き抜ける風。遠くに見える西洋のお城。
足下にはさっきの本があるけど、開かれたページに写っているのは…あたしの部屋!!
「どーしてっ!?なんで絵本の中に~~?」
どうやって帰るのかも分からずにいると、コン、と足になにかが転がってきた。
円い腕輪。顔を上げると長い髪のきれいな女の子と目が合う。
「きゅうう~」
変な声が聞こえたほうを向くと、そこにいたのはぬいぐるみみたいな、空を飛んで火を吐く…生きもの!?
思わず後ずさる新菜。手が本に触れた途端にまた景色が歪んでいって―

―また自分の部屋。なに、いまの?夢?
そうよねっ、あんなヘンなこと夢に決まって――
そう信じようとした刹那、ポゥ、と、またあの本が光る。
途端に新菜は怖くなって、叫びながら部屋を飛び出した。
「おかーさ~ん!」
…誰もいなくなった部屋で、背後の本から光が立ち上り青年の姿を形作った。それと、小さなドラゴンも。
「なんだ、ドゥン、おまえもついてきたのか?」「きゅ♡」
「とにかく、早くあの娘を探し出して、『あかしの腕輪』を取り返さなくては!」


思わずリビングに駆け込んだのはいいものの、あいにく両親は結婚記念日で家を留守にしていた。でも一人であの部屋に戻るのも怖いし……
そのときになって、新菜は絵本の世界から持ち出したブレスレットに気づく。おそらくはあのお姫様の持ち物だけど…
「…ちょっとくらいつけてみてもいいよね」
腕輪をそっと右手にはめる。すると今度はブレスレットから光が溢れ、新菜のまわりに広がっていく!
「しまったーっ!『あかしの腕輪』を―――」
一瞬遅れて部屋に入ってくる青年。みるみるうちに新菜の身体は縮んでいって―あるサイズで止まった。
「な…に?なにがおこったの?」
思わず自分の手足を見つめる新菜。途端、立っていた椅子から足を踏み外して真っ逆さまに―落ちるっ!!
…って思ったけど、なんか柔らかいところに落ちて助かったみた…い!?
「だいじょうぶか?」
って、なに!?きょ、巨人!!それに、なんかへんな生き物もいる!!
「きゃー!きゃー!巨人さん、食べないで~~!」
「誰が巨人だこら。オレがデカいんじゃなくて、あんたが小さくなってんだよ!」
え、うそっ!でも周りを見てみると…ここテーブルの上だ!
「――とにかく!『あかしの腕輪』は返してもらうぞ、このどろぼうネコ!」

…人の家に勝手に入ってきた挙句、人をどろぼう呼ばわりしたコイツ、どうもあの世界―リューリアの人間みたい。
「オレはリューリア王国王室魔術士の弟子、シィン=ルーディン。そして、その『あかしの腕輪』は、国王に代々受けつがれてきたきた『王のあかし』の魔法の腕輪というわけだ。そして今は、もうすぐ女王になられる、リーナ姫のものでもある!」
「もしかして、あたしが小さくなったのって腕輪のせい!?」
じゃあ、この腕輪をはずせば元の大きさに戻れ…あれ?
「無駄だ」「え…?」
「『あかしの腕輪』は、一度つけると自分でははずせないんだ」
…じゃあ、あたし………ずっとこのまま―――!?
「そんな――なんとかもとに戻れないの?」
「――その腕輪をはずせるのはただ一人、リューリア王国王室魔術士…オレの師匠だけだ」
…シィンはまだ修行中だから、腕輪をはずすだけの能力はないらしい。役立たず…
「だからっ、オレとリューリアに来い!そうすれば腕輪もはずしてもらえて、おまえももとに戻れる」
「――わかった、行こう!」
降り出した雨に急かされるように、あたしとシィン(と、ドラゴン?)は部屋に戻った。


…決心して、シィンの肩に乗って部屋に戻ったのはいいんだけど。
「あれ?絵本が光ってない!」
さっきまで月の光を受けて光っていた絵本は輝きを失い、シィンが触ってもなにも起きない。
「じゃ…じゃあ、あたしがさわってみる!」
新菜は肩から飛び降りて、腕輪をはめた右手を本に近づける。
「え―――!?」
するとまた光が溢れていって―もとの大きさに戻った!
不思議に思ったシィンは絵本を調べていたけど…やがてあることに気が付いたみたい。
「どうやらこの絵本は、リューリアの王家の人間が作ったものらしいな」
「…は?」
「言ったろ?王家の人間は腕輪の力をコントロールできるって。この絵本にはその王家の魔力がかけられてるんだ」
えーと…?よく理解できないんだけど。
「つまり、こーゆーことさ」
シィンがおもむろに本を持ち上げる。するとまた腕輪が光って…うそ!また小さくなった!?
「あんたがもとの姿にもどれたのは、この本の魔力のおかげだったんだ。だから、本から離れるとまた小さくなるってわけだ」
じゃあ…いつも本のそばにいなくちゃいけないってこと!?

「ところで、あんたんち空いてる部屋は?」
「え…高校の寮に入ってるお兄ちゃんの部屋があるけど…」
「じゃ、そこでいーか」
「ちょっとちょっとぉ、リューリアに帰るんでしょっ」
「帰れないんだよ。この本によるとリューリアと行き来できるのは満月の夜だけらしい。だから、この天気じゃもう今日はムリなんだ」
…えっ!?

「そんなわけだから次の満月の日まで世話になるぜ。ドロボーさん♡」
う…うそでしょ~~~っ!!

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