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リアリティの尺度①

「猫だけが知っている」・ソードワールドRPGシナリオ集⑥

「とっても小さな大仕事」/山本弘

『ボー・クラモンは引退した老魔術師です。ベルダインの王城の近くの高級住宅街に、召し使いと二人きりで住んでいます。
 ある夜、台所でつまみ食いをしようとしていたクラモンは、亡き妻の思い出の結婚指輪を、誤って下水管に落としてしまいました。下水管は狭く、生身の人間が入り込むことは不可能です。下水管を掘り起こそうにも、市の許可が下りません。
 そこでクラモンは冒険者を雇うことにしました。魔法の薬で彼らを5分の1サイズに変身させ、下水管を潜らせようというのです。
 この任務は報酬はいいものの、ひどく臭い上に、見かけによらず危険に満ちています。普段はよく見かけるゴキブリやネズミも、5分の1サイズになった冒険者たちにとっては手ごわいモンスターだからです!
 このシナリオは、1~2レベルの冒険者、4~6人用にデザインされています。』(以上、冒険への導入より抜粋)

 なにこれ?と思った方も多いかもしれない。これは、T(テーブルトーク)RPGのシナリオ集からの抜粋で、日本ではもっとも有名なTRPGのひとつ、ソードワールドのシナリオである―そう、あくまでシナリオであって物語ではない。ゲームマスターの設定したシナリオを基に、プレイヤーが演じる(ロールプレイ)ことにより物語が生まれる、いわば物語の種とでもいうべきものだ。無論、シナリオや登場人物および細部の設定はゲームマスターの裁量しだいで変更が可能なように作られている。本シナリオの作者は、有名な山本弘氏だ。
 ソードワールドの世界には、身体を小さくするアイテムが大まかに2つ登場する。ひとつは「リビング・ドール」という毒薬で、シナリオ集⑤「闇からの脅威」などで登場するアイテムだ。効果は「女性に注入すると体長を30cm程度に縮めて仮死状態にするが、男性に使うと身体が膨張し怪物になり数時間で死に至る」というもの。一見swの要素があるようだが、実際は仮死状態の時間が長く、文字通り人形化の手法として用いられることが多い。さらに言えばこのアイテムは男性の怪物化の役割を担うことが多く、縮小目的の利用は副次的だ(※なお男女の効果が逆の「アンチ・リビング・ドール」というものもあるが、今回は言及しない)。「闇からの脅威」では、ゲストキャラクターが縮小化したものの、最後まで覚醒することは無かった。
 もうひとつが、クラモン老人により作られた「ピクシー・メイカー」。今回の話に登場する薬である。効果は「(抵抗に失敗した)対象の身長を1/5に縮める。小さくなるのは肉体だけで、服や装備は変化しないため、変身の途中で服は脱げ落ちる。服用により使用」。今回のような冒険にはうってつけの薬だ。対象の性別を問わず永続的に効果が持続するため、冒険者や対象が小さくなる目的で使われることが多い。
 このような型のストーリーは実際のプレイ記録―いわゆるリプレイと呼ばれるものがサイズ変更の要素を多分に含むので、サイズフェチの要素が生まれてくるという仕組みになっている。なによりプレイヤーはゲームマスターの指示の元、強制的にサイズロールを強いられるというシミュレーションを行うこととなるのだ。
 さて、以降でシナリオの展開を見ていこうと思ったのだが…なにぶんTRPGのシナリオそのものなので、他のエントリよりもネタバレの度合いが強い。仮にこのシナリオに興味を持ってロールプレイしてみたいと思うのであれば、あなたがゲームマスターで無い限り読まないのが賢明だろう。
 …個人的な好みでは、多少改変が加えられたシナリオのほうが好みなのだけれど。
 
<導入>
 クラモンの依頼を受けることにした冒険者一行は、ピクシー・メイカーを服用し1/5サイズにまで小さくなる。既存の装備は使用できなくなるため、クラモンが用意した果物ナイフや針を武器として持ち替え、ハンカチや皮手袋を鎧として着込むことで防具とする。ソーサラーには魔法発動体が貸し与えられ、冒険の日用品であるパン屑などは執事のベイカーが用立てしてくれるほか、冒険者は創意工夫により日用品を組み合わせて武器としてもよい(ただし、飛び道具は使用できない)。
縮小前には「ピクシー・メイカー」は人数分+2個のストックがあり、交渉しだいではクラモンから解毒薬を人数分+2個を受け取ることができる。

<探索>
 冒険者は台所の排水溝から下水に進入し、指輪を持ち去ったと思われるラット(魔法「ロケーション」により確認)を追跡する。道中、ミミズ・ゴキブリ・ムカデ・ラット・スネークなどの動物に遭遇する可能性があるが、当然小さくなった冒険者にとっては等倍以上の相手となる(ただし、知能は低い)。また、下水道の一部は海に直結しており、流された場合は依頼失敗となる。下水道の一部には、後述するイベントが発生するポイントがある。

<対決と結末>
 ラットの追跡を続けた場合、ラットは最終的に隣家の台所まで逃げ込む。台所に人はいないものの、体長40cm程度の大きな虎縞のネコがおり、現れたラットを頭から貪り喰ってしまう。指輪はネコの歯に引っかかっており、「スリープ・クラウド」などで眠らせて取ることは不可能である。小人として戦うのであれば、キャットはかなりの強敵だ。
 なお、この場面で冒険者の何人かが解毒薬を飲んで(全裸で)元の大きさに戻りネコを取り押さえた場合は、指輪の回収と同時に台所唯一の出入り口から騒ぎを聞きつけたメイドが現れ、(全裸の)冒険者を発見する。以降の展開はゲームマスターおよびプレイヤーのアドリブに一任される。

<サブイベント>
 下水を北東の方角に進んだ場合、(通常サイズの)盗賊3人組を発見する。彼らは隣接するラーダ神殿の財宝を狙って宝物庫までのトンネルを掘っている最中であり、作業音のごまかしが効く昼間のみ活動している。発見後、盗賊を退治した場合は任務終了後に報酬と経験点にボーナス。ただし、解毒薬を飲まずに小人のままで戦った場合はモンスター「ヒューマン」として対峙することとなる。


 いかがだろうか。個人的には「冒険中でも2人までなら元の大きさに戻ることができ、さらに再縮小する分の薬が用意されている」という点がアクセントになっているように思われる。先に盗賊を発見し撃退するならば解毒薬を消費しなくてはならないし、その後指輪を取り戻す際に困難がある。逆に盗賊を発見したときに解毒薬が無ければ手も足も出ない…、もちろんプレーヤーはシナリオの全容を知らないためその場での対応を迫られる羽目になる。元のシナリオが十分にしっかりしているためアレンジがしやすく、戦闘等のデータも揃っているためアクシデントを楽しむのもまた一興か。例えば盗賊のイベントをさらに発展させたり、メイドの現れる条件やタイミングを変えるだけでも面白い展開になるだろう。すべては参加者の技量に委ねられている…今更無印のソードマスターをプレイする人がどれほどいるかは疑問だが。
 なお、小人の冒険者が出会う「ヒューマン」はレベル10のモンスター。詳しいデータは省くが当然知能は高く、なおかつ攻撃が命中すると捕獲されるというおまけ付き。推奨レベル1~2の冒険者では到底勝ち目は無い。まあ、TRPGの戦闘は必ずしも勝つ必要は無いのだけれど。
 かくして指輪が戻ったところでボー・クラモンの騒動は一段落し、シナリオも終了…と思いきや、このシナリオには続きがある。次回はその話。
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