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小女子千夜一夜

ランプの精 リトル・ジーニー/ミランダ・ジョーンズ 作・宮坂宏美 訳・サトウユカ 絵

―ここでおきてることは、ほんとにすごくて、ありえなくて、ぜったいにしんじられないことなんだから。
 だって、あたしのへやに、精霊のジーニーがいるんだよ!
 まあ、せいかくには、おばあちゃんがフリーマーケットで買ってくれたラバ・ランプの中にいるんだけど。リトル・ジーニーは、そこに四十年間もとじこめられてたんだって。そのランプをあたしがこすって、ごしゅじんさまになったってわけ(ヒャッホー!)。おかげで、ねがいをかなえてもらえるようになっちゃった。
 でも、そうかんたんにうまくいかないんだよね。ねがったことが、とんでもないことになったりするから。
 リトル・ジーニーも、けっこうドジだしね!
 (それでも、かわいいんだけどさ。)
』(以上、2巻1章より抜粋)

2巻 小さくなるまほうってすてき?

『表紙のアリ、みてくれた?
ジーニーのまほうで、小さくしてもらったの。
へやがとっても大きくみえるし、わくわくしちゃう★
…と思っていたら、たいへん!とんでもないことがおきちゃった。
助けて、ジーニー!』
(以上、2巻カバー内面あらすじより抜粋)

今日はとってもいいお天気。アリがベッドから降りてカーテンを開けると、まぶしい朝の光が差し込みます。
「お天気、よさそうだね。学校にいかなくてすめばいいのにな」
そう言って、期待するようにジーニーを見ます。今日は学校で理科のテストと、創作ダンスがあるのです。
ジーニーに再び3つのお願いをするためには、ジーニーの金の砂時計がまた落ち始めるのを待たなくてはなりません。お願いしたことは、砂がすっかり落ちるまで続きます。
…と、ちょうどその時、砂時計のピンクの砂が日差しを受けてきらっと光りました。砂が落ちてる!これでまた、お願いが出来ます。いまの一番の願いは学校をサボること。それならリトル・ジーニーがアリに変身して、代わりに学校に行ってもらえばいいのです!ジーニーも小学校での創作ダンスに興味があるようですし、とってもいい考えです。
「リトル・ジーニーをあたしにへんしんさせて!」
早速ジーニーにお願いごとをすると、机の上に座っていた小さなランプの精は消え、代わりに大きな―アリと全く同じ大きさの『アリ』が目の前に立っていました。これでジーニーに代わりに学校に行ってもらっている間、アリは素敵な一日を満喫できます!

ところが、残念ながらそう上手くはいきません。まず、テレビを見ようと思いましたが運悪く映らなくなってしまいました。外に出て遊んでいるところをお隣さんに見つかっては大変ですし、大人しく部屋で本を読むくらいしかすることが無いのです。そんな日に限っておばあちゃんは家にやってくるし、家でもお隣のカーターさんに見つからないように気を遣わなくてはなりません。

お昼になって家に帰ってきたジーニーも(あろうことか、瞬間移動で帰ってきました!)、アリが考えるようには上手くやってくれていないようでした。肝心の理科のテストも適当に答えたようで、来週一週間アリの居残りは決定的みたい。これ以上アリの姿をしたジーニーを放っておくのは心配です。家にいるのもつまらないし…
「ねえ、ふたつめのおねがいで、小さくなることにしたら?リュックに入れて、学校につれてってあげる!」
「あったまいい!」
そうすれば、はずかしいダンスをせずに、先生の話だけを聞くことができます。アリは大きく息をすいました。
「ふたつめのおねがい。あたしを小さくして!」


ねがいごとをいってすぐ、アリはめまいを感じました。へやがぐるぐるまわるので、目をとじました。気分もちょっとわるくなりました。
「アリ、どこにいるの?」
リトル・ジーニーの声が、きゅうに大きくひびきました。
アリは、そうっと目をあけました。となりに、大きくてつやつやした木のみきがあります。よくみると、キッチンのテーブルの足でした。あたし、ほんとに小さくなったんだ!
「こっちこっち」
アリはジーニーによびかけました。声まで小さくなっています。みあげると、ジーニーの顔がおおいかぶさってきました。
「すごくへんな感じ」
アリがいうと、リトル・ジーニーはわらいだしました。
「すぐになれるわ。わたしなんて、たいていその大きさでそごしてるんだから」
かがんで、しんちょうにアリをもちあげます。
「だいじょうぶ。ちゃんとめんどうをみてあげる」


そうして、本物のアリはリュックに入って学校についていくことになりました。いつもの学校も自分がすごく小さいぶん、みんながすごく大きくみえるので、本当に不思議な感じがします。
今日は一日、こうしてリュックの中でジーニーの正体がばれないように気を遣いながらなんとか過ごさなければなりません(もしばれたら、ジーニーは永遠にランプに閉じ込められてしまいます)。ところがジーニーが面白がって魔法を使うものだからクラス中がパニックになっちゃうし、アリは小さくなってるからなんにもできないし…これからどうなっちゃうの!?
日本に住んでいる人達にとって、日常的にアラビアとの関わりを意識することは稀なように思われる。身の回りでも、アラビア数字やアルカリ(アラビア語で「植物の灰」の意)といった言葉などにアラビアの名残はあるものの、それらはあまりにも日常に溶け込んでいてそれと意識せずに受け止めてしまっているように思う。

ところが外国ではそうでも無いようで、神秘的なアラビアに対する憧れが今でも根強く残っているようだ。歴史上におけるエジプト考古学ブームなども要因のひとつだろうが、アラビア文学に残るエキゾチックな異文化の魅力はやはり無視できないだろう。特にアラビアンナイトをモチーフとした作品は数多く、数々の方面に影響を与えている。
例えば、高名なラブクラフト御大の著作にも『アブドル・アルハズラット』なる妖術師がたびたび登場するが、この名前は御大がアラビアンナイトに憧れていた5歳のときにアラブ人になりたがって自らが名乗っていたものらしい。

そのアラビアンナイト=千夜一夜物語の中でも最も有名な話(諸説あり)のひとつが『アラジンと魔法のランプ』だろう。ランプから現れた魔神が持ち主の願いを叶えるというプロットは好評を博したようで、ディズニーによるアニメ化により日本の子供たちにも知名度が広まった。
この「ランプの精 リトル・ジーニー」シリーズもアラジンと魔法のランプを下敷きにした児童文学作品であり、アメリカに住む小学4年生の女の子を主人公にしている。わざわざリトルとついているのは、ランプの魔神が巨躯であるというイメージからだろうか(過去に紹介した『たいむとらぶるトンデケマン』でもランプの精が登場するが、こちらはスーパーマンを模した巨人の姿をしている)。

さて、前置きが長くなったが、この作品はそのランプの精にお願いをして小さくなった主人公の女の子・アリと、アリに変身したジーニーが巻き起こすトラブルの話。いつも小人の姿でアリと行動しているジーニーと、本来人間の大きさのアリとで立場が逆転して話が展開する。あらすじでは学校でのトラブルを匂わせるような書き方をしたが、小さくなった後は途中で学校から帰ってきて、今度は自室でのトラブルに見舞われる。

物語はずっとアリの一人称で語られるため、小さくなった後はずっと小人の視点でストーリーが進んでいく。小学校中学年程度の読者を想定しているためか、文章は平易かつ場面の想像がしやすい表現で書かれている。小さくなる場面はあらすじに抜粋して書いたが、このほかにも広大な体育館の中でお気に入りのヘアクリップを拾うため巨人の歩き回る体育館を這いずり回ったり、寝るときもアリに変身したジーニーの枕元で潰されないようにしたりと、それっぽいシチュエーションが結構ある。どれも、子供が読んでワクワクするような表現で書かれており、実際に子供に与える本としてもオススメできるだろう。

挿絵は丸みを帯びた暖かみを感じる画風。いわゆる萌え絵というものではないが、落ち着いた絵がちゃんと文章にマッチしている。小さくなった後の挿絵も多い。
本の表紙も凝っていて、カバーの中央が切り取ってあり驚いた表情のアリが描かれている。カバーを外すと、小さなアリを手のひらに乗せたジーニーが現れるという仕掛け。なお、この表紙は公式ホームページで壁紙として配布されている。

この本は2006年に日本で初版が出版されたが、作品はいまも続いていて定期的に新刊が発売されている。作者のミランダ・ジョーンズは仮名らしく、じつは有名な作家ということだけど…誰なんだろう?


※今回は試験的に、本文から抜粋した箇所は斜体で記しています。
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